【ソウル25日聯合ニュース】対外経済政策研究院(KIEP)は25日、トヨタ自動車の大量リコール問題について、成長重視の経営戦略により品質管理がおろそかになった上、組織文化の危機までが重なるなど、複合的な要因が作用した結果だと評価した。
 KIEPは「トヨタ・リコール事態の発生原因と教訓」と題する資料で、「トヨタはグローバル競争で生き残るため全社を挙げてコスト削減に取り組み、設計や部品調達、完成車の組み立てに至る全プロセスで品質管理を怠った」と指摘した。コスト削減のため約50車種で過度な部品共用化を進め、ひとつの部品で欠陥が見つかった場合の波及効果が大きくなるという結果を招いたと分析している。また、価格競争力を確保するため部品メーカーに単価引き下げを要求、これらメーカーが非正規労働者の採用を増やすなど品質も低下した。
 海外工場での組み立てでも、日本本社の社員を海外に多数転勤させ、国内と同様の環境を作ろうとする傾向が強かった。このため本社各部門の担当者が頻繁に入れ替わり、社内や部品メーカー間の緊密なコミュニケーションが難しくなったとKIEPは分析する。
 成長重視の経営戦略と組織文化の危機もリコールの要因に挙げられた。トヨタは2006年以降、ゼネラル・モーターズ(GM)を追撃するため成長に重きを置いた経営を推し進め、2008年には世界1位に浮上した。その後もこうした方針をさらに加速化し、品質重視の経営は相対的に後回しにされた。
 KIEPは、トヨタでは数年前から一部車種で欠陥が見つかるなど危機の兆候があったが、自社製品の品質に対する大きな自信、官僚主義的・閉鎖的な組織文化から、消費者の不満に耳を傾けないまま状況を安易に判断する面があったと説明した。
 また、トヨタで類似の問題が持続的に発生した原因は、消費者の提起した問題を自社の技術的な面から評価する傾向があったためだと指摘、その結果として対応が無責任で後手後手になり、信頼の低下が加速したと分析した。
 KIEPは、リコールを受けた日本の自動車産業・製造業に対する行き過ぎた批判を警戒すると同時に、今回の問題を全社的な品質・危機管理の重要性を改めて認識する契機とみなすよう助言している。


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