【ソウル28日聯合ニュース】1970年代に民青学連(全国民主青年学生総連盟)事件を取材中、事件首謀者らに少額の取材謝礼金を渡したことが問題視され有罪判決を受けた日本人ジャーナリスト太刀川正樹さんの再審が27日、ソウル中央地裁で行われ、無罪判決が言い渡された。
 太刀川さんは内乱扇動と大統領緊急措置違反の罪で起訴され有罪が確定していたが、再審では、それぞれ無罪と免除が言い渡された。

 地裁によると、当時、中央情報部の捜査状況報告に添付された文書には「日本人の関与を否定する資料として使える部分、前後が矛盾する部分は削除する」「被告人が金を渡したのは取材に対する謝礼だと表現した部分は、暴力革命資金の足しにしてほしいと渡したものと表現することにする」などと記載されていた。

 また、国家情報院・過去事件真実糾明を通じた発展委員会による調査で、当時の事件捜査官の一部が、捜査中に拷問が行われていたという趣旨の供述もしており、「被告人が金を渡し、革命を成功させるよう激励した」という事件首謀者らの供述も、任意性がない状態でのものだった可能性が大きいと指摘。信頼することは難しいと述べた。

 太刀川さんは1973~1974年、当時学生だった李哲(イ・チョル)前韓国鉄道公社社長、柳寅泰(ユ・インテ)民主党党務委員らに会い内乱を扇動し、北朝鮮をたたえ、反政府運動の費用として7500ウォンを渡したなどとして起訴された。非常普通軍法会議で懲役20年が言い渡され、10か月ほど服役されたのち、拘束執行停止で釈放された。

 過去事件真実糾明を通じた発展委員会は、2005年12月に再調査の結果、民青学連事件は学生の反政府運動を「共産主義者に背後から操縦された人民革命の試み」とわい曲し、学生運動を弾圧した事件だと発表した。その後、事件関与者45人が再審を請求し、大部分が無罪、免除判決を受けた。

 太刀川さんは、「36年ぶりに国が事件はねつ造されたものだと認めたことをうれしく思う」と、無罪判決の喜びを語った。収監生活を経験したことを故金大中(キム・デジュン)元大統領も知っており、その生前には外信記者としては最後のインタビューも行ったと紹介し、今後も韓日交流のために努力したいと話した。


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