【ソウル20日聯合ニュース】米国産牛肉の牛海綿状脳症(BSE)リスクを報じたMBCの情報番組「PD手帳」の制作陣に、一審で無罪が言い渡された。一方、検察は事実関係に対する判断が誤っているとしてすぐに控訴を決めており、検察と裁判所の葛藤(かっとう)関係が一層深まる見通しだ。
 ソウル中央地裁は20日、米国産牛肉のBSEリスクをわい曲・誇張して報道し、鄭雲天(チョン・ウンチョン)前農林水産食品部長官と閔東石(ミン・ドンソク)前政策官の名誉を傷つけたとして起訴された番組制作陣5人に対し、無罪を言い渡した。
 「PD手帳」は韓米の牛肉輸入交渉が妥結した直後の2008年4月29日、「緊急取材!米国産牛肉、果たして狂牛病から安全なのか」と題する番組を流し、2週間後に続編を放送した。番組は、自力歩行が困難な「へたり牛」の映像、米国人女性が米牛肉を食べ変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)で死亡した可能性が高いという趣旨の内容、韓米交渉過程への批判を盛り込んでいた。
 これに対し、鄭前長官や米牛肉の輸入販売業者らがそれぞれ名誉棄損と業務妨害で制作陣に対する告訴状を提出、検察が捜査を行った。
 裁判所は、へたり牛がBSEにかかった可能性が大きいかのような報道、女性の死因に対する報道、韓国人が遺伝子型によりBSEに弱いという報道など、検察が主張する内容を虚偽とみなすことはできないと指摘。当時は米国産牛肉のBSEリスクや輸入交渉過程の問題点に疑念を抱く事由が十分にあり、専門家の意見を聴取するなどそれなりに根拠を持って批判していたため、鄭前長官らの名誉を傷つけたとは見なし難いとした。また業務妨害についても、虚偽の事実があったり虚偽に対する認識があったとは見なし難いとし、無罪を宣告した。
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