質問に答えるキム・チャンジンさん=6日、利川(聯合ニュース)
質問に答えるキム・チャンジンさん=6日、利川(聯合ニュース)
【利川6日聯合ニュース】東京に暮らす在日同胞のキム・チャンジンさん(67)は、2004年8月にホテルオークラ東京内の美術館「大倉集古館」裏庭にある五層石塔を見た瞬間、心臓が止まるような気がした。
 1915年に日本に奪われた、故郷・利川(京畿道)の五層石塔返還運動を行っているキムさんは、6日に利川の月田美術館で開かれた「国外所在韓国文化財民間還収委員会の交流・懇談会」に出席。「数十年ぶりに会った兄弟が言葉を交わさなくても互いを見分けられるように、この石塔がほかでもない『利川五層石塔』であることを体で感じた」と当時を振り返った。全国民が一丸となり努力すれば、国外にある韓国文化財を必ず取り戻せると語気を強めた。以下は一問一答。

――利川五層石塔の返還運動を始めたきっかけは。

「故郷の利川にあった五層石塔が日本に持ち出され、東京にあることを故郷の友人から聞いた。28年間、日本に在住しながら、数多くの韓国文化財が日本の博物館にあるのを見て、韓国文化財に関心を持つようになった。それからすぐにこの石塔探しに乗り出した」。

――いつ、どのように見つけたのか。

「友人に話を聞いてから、1か月ほど東京の公園と寺院をくまなく探した。結局探せなかったが、利川文化院の関係者から東京のホテルにあるという情報をもらい、ホテルオークラで見つけた」。

――発見当時、石塔はどのような状態だったのか。

「雄壮な五層石塔1つが立派に立っていた。一目で利川五層石塔であることがわかった。おじきをしてからとめどなく涙があふれた」。

――利川の市民活動家らとはいつから返還運動を行っているのか。

「2006年ごろ、利川文化院に返還運動を提案したが、本格的にスタートしたのは翌年からだった。市民活動家らと還収準備委員会を発足させ、本格的な活動を開始した。わたしは日本で石塔に関する情報を集め、日本人に対し返還を促す運動を行った」。

――運動の成果は。

「3回にわたる市民討論会、日本現地での訪問調査をはじめ、昨年末現在、3万人を超える市民が文化財返還署名に参加した。10万人を超えれば、日本側に返還を求める計画だ」。

――返還される可能性はあるのか。

「難しいだろうが、可能性がまったくないわけではない。全国民が力を合わせれば、その気持ちが伝わり、必ず取り戻せると考えている。日本側は当然、返還に協力的ではない」。

――返還を求める上で最も力になるものは何か。

「市民の参加が絶対的だ。韓国で返還を求める世論が巻き起これば、日本も無視することができないはずだ。力を合わせれば何事も成し遂げられる。目的意識を持って積極的に返還運動に参加してほしい」。

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