【ソウル21日聯合ニュース】20年近く朝鮮半島と北東アジアの安保を束縛してきた北朝鮮核問題が、2010年には重大な分岐点を迎える見通しだ。
 消えつつある6カ国協議の火を絶やさずに対話による交渉で劇的な解決の転機を設けることができるか、または米朝が互いに背を向けたまま衝突も辞さない破局へと向かうかの、大きな岐路に立たされるだろうというのが外交筋らの見方だ。
 ことしの締めくくりを飾った今月8~10日の米朝対話には、希望の兆候がみられた。オバマ政権発足後、初めて正式に対座した米朝両国は、北朝鮮核問題で接点を見出すことに成功した。
 両国は対話終了直後、口を合わせたかのように肯定的な評価を下した。米国のボズワース特別代表(北朝鮮政策担当)は、10日にソウルで行った会見で「両国が6カ国協議プロセス再開の必要性と2005年の6カ国協議共同声明履行の重要性に対し、共通理解に達した」と明らかにした。北朝鮮もやはり11日に、外務省報道官を通じ「両国間で一連の共同認識ができた。米朝双方は残る相違を埋めるため、今後も引き続き協力することにした」と発表した。
 これには、双方の利害が巧妙に一致したという側面がある。長距離ロケット発射と2回目の核実験実施直後に国連安全保障理事会の制裁決議により苦境に陥った北朝鮮は、局面打開のためには米国との対話を維持するという戦略的必要性が高かった。米国は、来年4月の核安全保障サミットと同5月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議を控え、北朝鮮核問題である程度の成果を上げなければならない立場に置かれていた。
 特に北朝鮮核問題の今後の展開と関連し、最も目を引くのはボズワース特別代表が訪朝時に北朝鮮側に渡したオバマ大統領の親書だ。内容は明らかにされていないが、米政府当局者らの発言から推し量ると、北朝鮮が6カ国協議に復帰し、同協議共同声明を履行し非核化を進める場合は、6カ国協議当事国間の関係正常化や経済支援、朝鮮半島と北東アジアの平和体制達成などを通じ、北朝鮮が主張する米国の敵対視政策を解除し、北朝鮮の発展基盤を設けるとの約束が盛り込まれているとみられる。
 そのため、今後の要となるのは金正日(キム・ジョンイル)総書記の反応だ。一角では、金総書記がオバマ大統領の親書に肯定的な反応を示せば、米朝間の「大妥結」が実現する可能性も排除できないとの分析も出ている。6カ国協議に復帰した北朝鮮が、完全かつ検証可能で後戻りできない非核化措置に着手すれば、北朝鮮がかたくなに求めてきた朝鮮半島平和協定の締結に向けた韓国、北朝鮮、米国、中国による4カ国対話が始動することもあり得るとの観測もある。
 ボズワース特別代表が16日のワシントンでの会見で「4カ国が平和協定交渉に直接関連があることは明確で、それは全て6カ国協議参加国が理解している」と述べたことも、同じ脈略でみることができる。この場合、6カ国協議と4カ国対話の2軸を中心に、これまでになかった動力が形成され、北朝鮮をめぐる朝鮮半島情勢が対立から対話・交渉の局面へと転じる可能性も排除できないと、専門家らはみる。
 しかし、見通しは楽観的なものばかりではない。何よりも、北朝鮮は自主生存のためにすべてをかけたともいえる核兵器開発を簡単に放棄できないとの見方が優勢だ。6カ国協議が再開される場合、北朝鮮の濃縮ウラン問題が議題に追加されることが確実視される点も、協議の見通しを不透明にさせる一因となっている。6カ国協議が再開されても、北朝鮮が具体的措置で非核化に向けた意志をどれだけ示すかが、4カ国対話の始動を左右することになるだろう。
 ある外交筋は「結局、一括妥結策で6カ国協議が一気に進み、4カ国対話とともに2大軸となるか、または以前と同様に行き詰まりをみせるか、すべては北朝鮮の態度にかかっている」と述べた。
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