【ソウル21日聯合ニュース】2010年の南北関係は、朝鮮半島周辺情勢急変の中で新たな局面を迎えそうだ。

 北朝鮮が緊張を高めることに集中していた2008年と比較すると、2009年は8月から北朝鮮の「平和攻勢」が続き、南北関係も転換のチャンスをうかがった年だったと言えるだろう。それだけに、来年は過去の交流・協力の成果に加え、政治的、軍事的な協力や緊張緩和の面でも進展をみせ、李明博(イ・ミョンバク)政権が掲げる「新たな南北関係」の土台が築かれるという可能性に注目が集まっている。

 韓国と北朝鮮は、ともに関係改善に向けた意志をみせている。特に、北朝鮮が米朝関係と南北関係を同時に解決するという基調の下、韓国に融和姿勢をみせながら、人道支援や金剛山・開城観光の再開、開城工業団地の活性化などをリードしようとするとの見方が優勢だ。

 また、米ボズワース特別代表(北朝鮮政策担当)が今月初めに訪朝した際、北朝鮮が朝鮮半島平和体制を話し合う南北と米国・中国の4カ国対話構想に同意したことが、外交家の関心を集めている。

 一方の韓国政府も、来年は対北朝鮮構想「非核・開放3000」に基盤を置いた南北関係の「新たな舞台作り」が必要だとする立場を明確にしている。李大統領が提示した北朝鮮核問題の一括妥結案「グランド・バーゲン」構想を実現するためにも、南北の対話を本格化する考えだ。
 ただ専門家らは、南北関係の改善に向けては何より北朝鮮核問題の進展が決定的な変数になると指摘する。韓国政府が核問題と南北関係の発展をからめて対北朝鮮政策を進めてきたため、北朝鮮が「6カ国協議無用論」を脱し、協議のテーブルに復帰しなければ、政府の積極的な対北朝鮮アプローチは容易ではないとの説明だ。

 政府当局者らは、さらに一歩踏み込み、6カ国協議の再開だけでは足りず、北朝鮮が完全な核廃棄を交渉のテーブルに載せ、その見返りとして残る協議当事国に現実的に提供可能な安全保障・支援を求めるという「大取引」の条件が成熟せねばならないと強調する。韓国の期待通りに核問題の突破口が見い出されれば、南北首脳会談や閣僚会談などを開く環境が整うものと、政府内外では期待している。

 ただ、この段階で南北の前にはまた別のハードルが立ちはだかる。韓国政府が南北関係の中核課題に掲げる韓国軍捕虜・拉致被害者の送還問題と、南北間での北朝鮮核問題協議をめぐる溝を埋めねばならない。特に、捕虜・拉致被害者の送還をめぐる立場の違いは、年初から水面下で進められていた南北首脳会談が白紙化した大きな原因だったとされる。

 政府は大規模な対北朝鮮人道支援と捕虜・拉致被害者の送還問題をからめて解決する考えだが、北朝鮮は先ごろ内閣機関紙の労働新聞で「拉致被害者は存在しない」との立場を改めて示した。北朝鮮はかつて、日朝関係正常化に向け日本人の拉致を認め、「逆風」にさらされた。このため、北朝鮮が捕虜・拉致被害者問題という「パンドラの箱」を開けるかどうかには疑問の声が上がっている。

 一方で、2010年秋の収穫期を迎えるまでに北朝鮮で食糧150万トンの不足が見込まれる点、2年連続で韓国のコメ・肥料支援が絶たれている点、核実験以降は外国からの食糧供給が大幅に減った点などから、北朝鮮が体制維持に必要な支援を取りつけるため態度を軟化させるとの見方もある。

 また、南北対話で北朝鮮核問題の扱いに関しても、意見の溝が浮き彫りになっている。政府は朝鮮半島問題の当事者だけで対話を進める中で、当然、核問題も協議すべきとの立場だが、北朝鮮は6カ国協議への復帰に前向きな態度を見せてはいるものの、核問題は究極的には米国との直接対話で解決すべきとの姿勢を捨てていない。
 結局は、来年に核問題が進展を見せるなか、韓国と北朝鮮が争点に折り合いをつけることができなければ、南北関係の転換期を迎えることはできないだろう。
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