インタビューに答える河田真一さん=10日、ソウル(聯合ニュース)
インタビューに答える河田真一さん=10日、ソウル(聯合ニュース)
【ソウル9日聯合ニュース】「ミス自体はささいなことだが、その結果は予想もつかないほどの大きな被害をもたらしかねません」――。
 日本の「ヒューマンエラー(人為ミス)」コンサルタントの河田真一さんが、このほど韓国能率協会コンサルティング(KMAC)の招きで訪韓した。9日にソウル市内のホテルで行ったインタビューで、河田さんは「人間のミスは組織や環境など幅広い背景を土台に発生する。ミスした本人だけの問題として見てはならない」と強調した。

 韓国のヒューマンエラー管理レベルについては、20年前までは品質管理ができていなかったが、現在は品質面でレベルが高くなったと評価した。以下は一問一答。

――ヒューマンエラー管理とは何か。

「人間は必ずミスをする。またささいなミスが大きな事故につながるケースもある。問題はミスした人をしかって終わりにする風潮だ。ミスした人だけの責任ではなく、その人が属している組織や環境など幅広い範囲の背景を土台にミスが起きる。ヒューマンエラーというと人間のミスだと考えがちだが、その背後に存在する組織や環境、会社の風土までを含む広範囲の概念だ」

――ヒューマンエラーを防止するには。

「まずは複数の防御措置を設置すべきだ。どんなに自動化が進んでも人間が作業を遂行しなければならない現場があり、そこではミス防止措置を用いて人間のミスを前もって遮断することが重要だ。組織的には最高経営責任者の意識が重要だ。最高経営責任者から始まり、管理者、現場に至るまでが同じ意識を共有すれば、人間によるエラーの素地をなくすことができる。それでも作業者がミスをすれば、そうした事故や不具合が絶対に流出しないようにする装置も備えなければならない。こうした防御壁をどれだけしっかり構築するかがカギだ」。

――最高経営責任者の意識を強調する理由は何か。

「最終的に重要なのは作業者の意識だ。しかし、作業者は直属上司の意見を重要視し、中間管理者は最終的には役員の意見に従う。結局は最高経営者の意識が重要だ。組織の上層部がヒューマンエラーの管理について正確に理解し、中間管理者に指示すべきだ。多くの会社をコンサルティングしたが、よい会社かどうかは経営者にインタビューすれば、すぐにわかる」

――人間ならだれでもミスを起こすが、ヒューマンエラーをなくすことはそれ自体が矛盾ではないか。

「もちろん、人間はミスをする。しかし、同じ人間でもコンディションがいいときがあれば、悪いときもある。少なくとも会社では最上のコンディションで仕事ができるようにしなければならない。適切な労働環境をつくり、ミスを最大限減らすことがヒューマンエラー管理の目的だ」

――エラー管理と同様に、収拾策も重要と思われるが。

「事後処理も非常に重要だ。日本で子どもがエレベーターのドアに挟まり死亡する事故があった。当時、エレベーター会社は『機械的な欠陥はなかった』という釈明だけを繰り返したが、その後、同社のエレベーターは一つも売れなかった。経営者がそんなマインドで対処してはならない。すでに発生した事故は取り返しがつかない。潜在する全要素を明らかにし、対応しなければならない。ヒューマンエラーは非常にささいなことだが、その結果は生命に直結することもあり得る」

――韓国のヒューマンエラー管理レベルは。

「20年前に米国で生活したときに韓国製品を購入したことがある。現代自動車やパソコンも買ってみた。率直に言うと、非常に悪く、修理すらできなかった。わたしだけではなく、周りでもそんな経験が多かった。当時と比べると、想像もできないほど変わったことを実感できる。品質面でレベルが高まったと考えている」

――韓国企業と仕事をしたことは。

「ない。今回の訪問が一緒に仕事するきっかけになればと思う」

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