【ソウル4日聯合ニュース】韓日両国政府から冷遇され、厳しい法廷争いを続けている日本植民地時代の強制徴用被害者が、国内の裁判でも挫折を味わった。 
 ソウル行政地裁は4日、強制徴用者遺族のイ・ユンジェさんが政府を相手取った訴訟で、イさんが父親の未払い賃金を1円当たり2000ウォン(約160円)と換算した慰労金決定方式に問題があるとし、「政府が支払う金が支援金なのか補償金なのかを審議する根拠がない」と、請求を棄却した。
 また、未払い賃金換算法を規定した法条項に対する違憲審判を求める申し立ても却下した。地裁関係者は、関連法に1円当たり2000ウォンを支払うとの条項があるため、支援金の支払い主体の「太平洋戦争強制動員犠牲者支援委員会」がこれに異議申し立てをする権限がないという趣旨の判決だと説明。原告の事情は同情するものの、立法で解決すべき問題と判断されると話した。
 強制徴用被害者の未払い賃金訴訟を日本ではなく、国内地裁に提起したのはイさんが初めてだ。
 第二次世界大戦終戦直後に未払い賃金問題が社会問題として広がると、日本政府は企業に未払い賃金を供託するよう指示した。現在、供託金は3億600万円だが、これは1945年当時の額面金額で、現在の価値に換算すると、3兆~4兆ウォンに達すると推定されている。
 しかし1965年の韓日請求権協定で、韓国政府は両国の過去を清算する代価として日本政府から5億ドルの支援を受け、経済再建に投資した。清算には未払い賃金の放棄も含まれ、被害者は一銭も受け取ることができなかった。韓日両国が責任を回避する間、被害者は日本政府を相手に供託金の返還を求める訴訟を起こし、そのたびに敗訴した。その後、2005年に韓日会談の文書が公開されたことを機に、過去の清算に対する社会的要求が大きくなると、政府は特別法を制定し未払い賃金被害者と遺族に「慰労金」の支払いを始めた。
 政府は日本にある供託金を1円当たり2000ウォンとして慰労金を支払っているが、訴訟を起こしたイさんをはじめ被害者の多くは、1945年以降の物価上昇分を反映すると金額が少なすぎると主張している。またこれが、日本から未払い賃金放棄の代価として受け取った「補償金」なのか、「支援金」なのかを明確にすべきだと求めている。
 今回の判決についてイさん側弁護士は「法をあまりにも形式的に解釈した判決で控訴する。また、問題の条項の違憲是非を判断してもらうため、憲法裁判所に憲法訴願を提出する予定だ」と話した。

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