これらの医師は、医師であると同時に民間外交官でもあった。韓国の外交力が及ばないアフリカの小国で、古くは南北外交や韓国の国連加盟、最近では全羅南道・麗水世界博覧会招致など大小さまざまなイシューについて、当該国が韓国に加勢するよう説得するという難事にも骨を惜しまなかった。大きな外交事案を別にしても、韓国がどこにあるかも知られていない国で医術を施すこと自体が、韓国に対する好印象を植えつける貴重な仕事となった。
このように功の大きかった政府派遣医師制度を政府がなくした理由は、経済的な要因が大きい。政府派遣医師は軍役の代わりに海外で医療奉仕活動を行う「協力医師」と役割としては近いが、費用では政府派遣医師が5倍以上かかる。韓国国際協力団(KOICA)関係者によると、政府派遣医師のほうが効率性が低く、費用対効果を考慮せざるを得なかったという。
政府支援が途絶え、相当数の政府派遣医師が帰国したが、彼らが担ってきた奉仕活動のすき間はそのままだ。協力医師の割り当て人員は1年で20人と決まっており、変更が難しいため。
2004年4月から4年間、ベトナム・ハノイで政府派遣医師として活動してきた京畿道立医療院抱川病院長のファン・ヘホン(57)さんは8日、聯合ニュースの電話取材に対し、「海外で苦しむ人々のために奉仕することそのものがうれしかったが、これ以上機会が与えられず残念」と無念さをにじませた。また、奥地に住む韓国人の健康のためにも、政府による医師派遣の必要性を訴えた。
KOICA関係者は、医療スタッフの長期派遣は費用上の理由で難しいため、数週間から数か月単位の短期医療スタッフの派遣案を検討していると明らかにした。
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