【ソウル1日聯合ニュース】4日に予定されている、北朝鮮に抑留中の米国籍女性記者2人に対する初裁判が、北朝鮮の挑発行為にも変数になるかどうかが注目されている。豆満江付近の中朝国境地帯で拘束された、米カレントTVのユナ・リー記者とローラ・リン記者に対する長期の抑留自体が「対米交渉カード」になり得るためだ。
 北朝鮮は2回目の核実験や短距離ミサイル発射などで、米国をはじめとする国際社会と強硬に対峙(たいじ)する中でも、米記者抑留問題については「強・穏戦略」を繰り返してきた。記者2人に対する裁判回付を宣言し、長期抑留の可能性をほのめかす一方、米国の代わりに駐北朝鮮スウェーデン大使に2度にわたり2人との面会を許可した。先月26日には、記者らが米国の家族に電話をかけることも認めている。
 こうした状況から、記者2人に対する初裁判もまた「交渉用」の意味合いを含んでいるとの見方が出ている。米国と直接やりとりをしたい北朝鮮が米国に送る一種のメッセージたり得るとの見解だ。
 ある消息筋は1日、聯合ニュースの電話取材に対し、「北朝鮮は米国から体制および後継構図を認められたいと望んでおり、このために抑留記者問題を活用する可能性が大きい」と話した。
 米朝対話を通じて体制および後継構図を維持するか、核の確保を通じ後継体系を強化するかの岐路にあり、網渡りをしている北朝鮮が、記者抑留問題を米朝対話の糸口として活用し得るということだ。カレントTVの共同設立者であるゴア元米副大統領の訪朝の可能性がささやかれているのもこうした流れからだ。
 これに伴い、記者らの裁判は今後の米朝間接触の成果によって様相が変わる見通しだ。別の消息筋は、北朝鮮は米国との対話で成果を上げるため、裁判自体を長引かせる可能性もあると指摘する。北朝鮮はとにかくこの問題を最大限変数として利用しようとするだろうし、米国がどう対応するかが問題だと話した。
 一方、クリントン米国務長官が、「われわれは北朝鮮に振り回され、譲歩案を提示することに関心がない」と表明したように、米国の強硬基調が続く場合、北朝鮮も記者らを「人質」に変え挑発レベルを高める可能性がある。
 ただ、記者の解放を促す国際世論が加熱している点を考慮し、北朝鮮が「速戦即決」式裁判を通じ、有罪を宣告しながらも追放命令を下す可能性も排除できない。こうした場合、挑発行為と制裁の悪循環を繰り返している米朝関係が雪解けに差し掛かるとの見方もある。
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