【ソウル24日聯合ニュース】北朝鮮が21日の開城南北接触で開城工業団地関連の特恵を全面的に再検討するとの立場を伝えながらも、同工業団地の発展に対する強い意志を表明したと把握され、その背景に関心が集まっている。
 聯合ニュースが23日に入手した開城接触時の北朝鮮側通知文によると、北朝鮮は賃金引き上げと土地使用料の早期徴収などの立場を明らかにした後、「われわれのこうした原則的な立場は、危機に直面した開城工業地区事業を救い正常化するための忍耐心のある努力の表れ」だとし、今後も「わが民族同士」の理念に基づき、開城工業地区事業が円満に進むようあらゆる誠意と努力を尽くすと述べた。文書の相当部分が「6・15共同宣言(南北共同宣言)の精神に基づき開城工業団地に特恵を提供したが、韓国側の責任で6・15精神が壊されただけに特恵を引っ込めるしかなくなった」という北朝鮮側の論理を説明することに割かれている中で、このように工業団地維持への意志を示した部分は目を引く。
 もちろん、これが「対話か対決」ひいては「要求受け入れか工業団地閉鎖」の選択を迫る北朝鮮の一種の最終通告ということでは疑問の余地はなさそうだ。北朝鮮が通知文の末尾に「南(韓国)側が事態をさらに悪化させる場合…(中略)…一層強力な措置を取る」と述べていることから分かるように、「われわれはうまくやっていこうとするのに、南側が状況を悪化させればどうしようもない」との論理を展開する次元から出たものと解釈されるためだ。
 しかし、今回の開城接触に先立ち北朝鮮が通行の制限・遮断、常駐人員の減員などを行っており、こうした措置にとどまらず工業団地閉鎖などの措置を取る可能性も指摘されていることまで勘案すると、工業団地が維持されるよう努力するという立場表明が示唆するところは少なくないと見る向きもある。少なくとも自分たちが先に工業団地を閉鎖する考えはないという立場を明らかにしたもので、強硬なメッセージと前向きなメッセージを同時に送ったものと判断する余地があるからだ。
 政府はひとまず、こうした通知文の文言に少なからぬ意味付けをしており、工業団地問題を媒介に北朝鮮との対話の糸口をどのような形であれつないでいくことを多角的に検討している。北朝鮮が工業団地以外のイシューまで対話を広げると確信するのは難しいが、いったん対話の動力を生き返らせることができれば幅広い分野で対話が進み、それは南北関係の対立局面を解く上でも役立つとみている。政府当局者は「開城接触で明らかになった北朝鮮の態度は、まずは開城工業団地閉鎖という極端な選択よりも交渉のほうに重きを置いているものとみえる。政府はせっかくのチャンスを対話再開につなげられるよう生かすというのが基本立場」と話す。
 政府は、北朝鮮側の関心事と入居企業の最大の要望である通行・通関・通信(3通)問題の解決、滞在者の身辺安全問題を話し合う出入・滞留共同委員会設置をひとくくりにし、北朝鮮に対話を逆提案する案を積極的に検討中と伝えられる。特に長期にわたり北朝鮮側から調べを受けている開城工業団地の現代峨山社員問題も対話の最優先課題として扱いたい考えだ。政府当局者は、同社員が長期抑留されたまま接見も認められない状況が続く場合、「政府としては抑留問題を差し置き、北朝鮮と何事もなかったかのように工業団地問題を協議するのは難しい」と述べ、抑留問題と工業団地関連当局会談を事実上関連付けることを示唆した。
 次の南北接触の時期については、政府は「北朝鮮の提案を慎重に検討するものの、ずるずる先延ばして時期を逃す愚を犯すことはしない」という基調だ。統一部の玄仁沢(ヒョン・インテク)長官は23日にあるメディアの電話取材に対し、次回の接触について決定したことはないとしながらも「あまり長く引っ張るのはモメンタムの問題がある」と答えたという。
 政府内外では、早ければ来週にも2回目の南北接触が行われるという見通しも出ている。
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