労働新聞が掲載した国防委メンバーの写真=16日、ソウル(聯合ニュース)
労働新聞が掲載した国防委メンバーの写真=16日、ソウル(聯合ニュース)
【ソウル16日聯合ニュース】北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」と内閣機関紙「民主朝鮮」が、今月の最高人民会(国会に相当)第12期第1回会議で選出された国防委員会の委員全員の顔写真を公開した。北朝鮮メディアが委員まで国防委全員の写真を掲載し内外に公開するのはこれが初めて。
 16日に入手された同機関紙は、最高人民会議翌日の10日付紙面に、国防委の趙明録(チョ・ミョンロク)第1副委員長、副委員長の金英春(キム・ヨンチュン)人民武力部長と李用茂(リ・ヨンム)氏、呉克烈(オ・グクリョル)氏のほか、委員の全炳浩(チョン・ビョンホ)党軍需工業部長兼秘書、金鎰チョル(キム・イルチョル)人民武力部第1副部長、白世鳳(ペク・セボン)第2経済(軍需工業)委員長、張成沢(チャン・ソンテク)党行政部長、朱相成(チュ・サンソン)人民保安相、禹東則(ウ・ドンチュク)国会安全保衛部副部長、朱奎昌(チュ・ギュチャン)党軍需工業部第1副部長、金正覚(キム・ジョンガク)総政治局第1副局長の順で写真を掲載している。
 北朝鮮メディアは2003年9月の最高人民会議結果を伝える際には、国防委副委員長以上の写真を公開しただけで、委員の写真は公開しなかった。特に白世鳳委員の場合、2003年に委員選出されたが一度も顔が公開されたことがなく、一部では「白頭山の3つの峰を示し、金正日(キム・ジョンイル)総書記の次男、正哲(ジョンチョル)氏の仮名の可能性も」との推測もあったが、今回の写真公開はこうした憶測を払拭した。また、北朝鮮住民の監視担当という業務特性上、なかなか表に出なかった国家安全保衛部の禹東則副部長の顔が公開されたことも目を引く。
 北朝鮮が異例的に委員の写真まで公開したのは、金正日第3期体制で国防委と国防委員の地位と役割が強化されたことを反映したものとみられる。これはすなわち、国防委が依然健康状態の良くない金総書記を補佐し、実質的に北朝鮮を統治・運営する最高権力機関になったことを示す。
 過去には金総書記をトップとする1人の絶対権力により運営されたシステムが、金委員長の健康悪化に伴い、国防委という集団指導体制的な形態に変わるのではないかという観測も出ている。また、今回の最高人民会議では北朝鮮憲法を改正したと発表されている。具体的な内容はまだ公開されていないが、こうした国防委の位置付けと権能強化に焦点が合わせられていると考えられる。
 特に、金総書記の健康悪化が取りざたされて以降、実質的な統治者として浮上した張成沢党行政部長が国防委員に選出されたことを受け、今後の国防委は張部長が中心となり、軍事だけではなく政治・外交など北朝鮮の国事全般を主管し、張部長のパワーはさらに増大しそうだ。張部長は金総書記の後継者とされる三男の正雲(ジョンウン)氏の後見人として、労働党ではなく国防委を通じ後継体制構築を主導するといわれる。
 統一研究院・北朝鮮研究センターのチェ・ジンウク所長は、「従来は金総書記1人で直轄・分轄・人的統治方式で北朝鮮を掌握・運営してきたとするならば、健康悪化を機に、国防委という合意体的性格の機関が金総書記を補佐し大きな権限をもって統治するものと予想される」と話している。国防委が国政はもちろん、後継構図構築までの北朝鮮全般を率いるとの見通しだ。また、国防委は実権者の張成沢部長を中心に運営されると分析した。
 北朝鮮の朝鮮中央通信も、最高人民会議2日後の11日、国防委の委員全員の顔写真を世界のメディアに向け公開した。
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