記者の質問に答える吉田さん=30日、ソウル(聯合ニュース)
記者の質問に答える吉田さん=30日、ソウル(聯合ニュース)
【ソウル30日聯合ニュース】日本の小説家・吉田修一さんが、自身の作品を韓国語に訳したイ・ヨンミさんの「ポラナビ著作・翻訳賞」受賞に合わせ訪韓した。30日にソウル・鍾路の書店で記者らと会い、自身の作品観などを語った。

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吉田さんは「悪人」「パレード」「東京湾景」などの作品で平凡な人間の心理を鋭く繊細に描き、韓国にも多くのファンを持つ。2002年、「パレード」で大衆文学賞の山本周五郎賞を、「パーク・ライフ」で純文学賞の芥川賞を同時に受賞したことから、ジャンルにこだわらない代表的なクロスオーバー作家と評されている。

 吉田さんは「前世代の作家が純文学とエンターテインメント文学の区分を意識して作品を発表したのなら、自分はジャンルにこだわらず、今書きたいもの、書けるものを書いている」と説明、出版後初めてどういうジャンルか評価されるが、個人的にはどのジャンルに評価されても構わないと話した。

 ジャンルやスタイル、素材は違うものの、関心は人と人との心理変化にあるという。「人間という存在自体が好きです。どんなに観察しても飽きず、とりわけだれかが何かをきっかけに起こす、さまざまな心理変化に関心が高いですね」。

 スペクタクルな事件もなく現代人の内面を写実的に描いた初期作品も、2007年の「悪人」、2008年の「さよなら渓谷」といった犯罪事件を扱った最近の作品も、すべて人間の内面の狂気を描いたものだと説明する。初期作品で爆発寸前の狂気を描いたとすれば、最近の作品では爆発した後の状況に関心を注いだ。その差があるだけで基になる流れは同じだとし、「今後もあっちこっちを往来しながら作品活動を続けたい」と話した。

 訪韓は今回が2回目。29日の読者サイン会、30日の朗読会を通じ韓国の読者と交流した吉田さんは、「2度の訪韓を通じ韓国のファンがわたしの作品を一生懸命に読んでいることを肌で感じました」と述べ、感謝の意を示すとともに今後も精力的に執筆活動を行うと意欲を示した。

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