【ソウル4日聯合ニュース】大企業に対する事前規制の象徴とされてきた出資総額制限制度が、論戦の末、廃止されることになった。国会は3日、同制度の廃止と持ち株会社規制緩和、企業集団公示制度の導入などを骨子とした、公正取引法改正案を議決した。出資総額制限制度の廃止で、10の企業グループに属する大企業31社に対する投資規制が解除されることになったが、世界的な景気低迷で、これら大企業の投資拡大も当面は困難だろうとの見方が優勢だ。
 出資総額制限制度は、資産総額10兆ウォン(約6340億円)以上の企業集団(グループ)に属する資産2兆ウォン以上の会社が、別の会社に出資することができる金額を純資産の40%以内に制限する制度。1986年12月に、大企業グループのむやみな拡大を防ぐため導入された。

 当初の対象は、資産総額4000億ウォン以上の32グループだったが、1993年に指定基準が資産総額30大グループに変更された。通貨危機直後の1998年、買収・合併(M&A)制度改善を機に一時廃止されたが、循環出資など大グループの系列会社間出資が問題視され、2002年に資産総額5兆ウォン以上を対象として復活した。その後も「国際競争体制に符合しない代表的な企業規制」などと指摘を受け、2007年4月に現水準まで緩和された。

 制度対象は本来、14グループ543社だが、例外条項が多いため、実際に制限を受けてきたのはサムスン、現代自動車、SK、ロッテ、GS、現代重工業、錦湖アシアナ、韓進、STX、新世界など10グループ31社。今回の制度廃止で、これら企業の投資規制が緩和されることになる。

 公正取引委員会関係者は、「出資総額制限制度は代表的な事前的規制。適用を受けている企業の投資や、新たに対象に組み込まれる企業の活動を萎縮させるため、廃止を決めた」と説明した。

 一方、市民団体などは財閥に経済力が集中するとして懸念を示している。経済正義実践市民連合は、同日に声明書を発表し「制度廃止は健全な市場経済秩序を滅ぼし、少数財閥集団の利益とオーナー中心経営を永久に許す方向につながるもの」だと主張した。また、財閥総帥一家が少ない資本で系列会社全体を支配している形態が改善されずむしろ悪化している状況で制度を廃止すれば、市場規律の空白を招くことになると強調した。

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