朝鮮中央テレビが公開した写真=11日、ソウル(聯合)
朝鮮中央テレビが公開した写真=11日、ソウル(聯合)
【ソウル12日聯合】北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記が前方軍部隊である朝鮮人民軍第821部隊傘下の女性砲兵中隊北朝鮮を視察する写真が、11日に北朝鮮メディアにより公開された。金総書記は健康悪化が伝えられるなか2か月近く姿を見せていなかったが、金総書記が現在北朝鮮を正常統治しているという韓国政府当局の判断が確認されたことになる。
 北朝鮮の朝鮮中央テレビと中央通信は11日、金総書記の軍部隊視察を異例の早さで公開した。そのほかの内外向けメディアも同日午前から軍部隊視察と談話発表を繰り返し報じた。この談話は、北朝鮮政権60年を回顧し今後の政策方向を示した、「朝鮮民主主義人民共和国は不敗の威力を備えた主体の社会主義国家だ」とする金総書記の談話で、労働党創建記念日の10日に発表された。内外に向けて金総書記の日常業務への全面復帰を示唆し、健康悪化説を一段落させようとする北朝鮮当局の方針がうかがわれる。北朝鮮メディアは4日には、金総書記がサッカーを観戦したと報じている。

 金総書記の軍視察報道と写真の公開は、朝鮮中央通信が8月14日に軍部隊の視察を報じ、15日付の労働新聞が関連写真を公開してから、約2か月ぶりとなる。特に9月9日の政権樹立60周年閲兵式に欠席したことで、健康異常説が急速に広がっていた。

 公開された写真はこれまでの軍部隊視察と同様、サングラスとジャンパー姿で、部隊員と話を交わしたり拍手をしたり訓練を見守る姿を映し出している。髪型や、両手を後ろで組んだり腕組みをしたりする姿勢も以前と変わらない。顔の肉がやや落ちたようにも見えるが全体的には大きな違いは見られず、写真だけでは正確に比較するのは難しい。

 労働党機関紙の労働新聞も11日付の1面でこのニュースを写真入りで伝えたが、中央テレビは関連映像は放映しなかった。

 金総書記の写真を見た神経科やリハビリ医学科など国内の専門家らは、写真だけでは健康状態を判断したり比較したりはできないと前置きしながらも、写真が本物だとすれば姿勢や動作からは体の片側まひなど脳疾患による後遺症はほとんど無いように見えると分析した。

 一方、韓国政府当局者は、4日にサッカー観戦が報じられてから金総書記がいつ現地指導に赴くかを関心を持って見守ってきたとし、「写真が公開されたからといって、政府の政策基調や情勢判断に大きな変化はないだろう。今後も金総書記の動向を注意深く見守る」と述べた。
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