【ソウル5日聯合】日本政府が2008年版防衛白書で、独島を自国の領土とする既存の立場を固守したことにより、領土問題をめぐる韓日間の葛藤(かっとう)が深まっている。一部の懸念に反し、例年に比べ表現を強めることはなかったものの、7月に中学校社会科の新学習指導要領に独島の領有権主張が盛り込まれ韓国国民の神経が高ぶっていたことから、韓日関係にとってかなりの悪材料となる見通しだ。
 政府はこの日、防衛白書が日本の閣議を通過すると即座に対応に乗り出した。外交通商部は文太暎(ムン・テヨン)報道官の論評を通じ、「日本政府が防衛白書で独島を日本の固有領土と記述していることに強く抗議し、日本政府が即座に是正措置を取るよう要求する」と述べた。

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 外交通商部は趙泰永(チョ・テヨン)北東アジア局長が駐韓日本大使館の高橋礼一郎総括公使を呼び抗議したほか、国防部も日本大使館の上ノ谷寛防衛駐在官(1空佐)に対し、以前と同じく独島を日本領と表記したことに抗議の意を示すとともに是正を求めた。

 国防部は、「日本政府の独島領土権主張は植民地時代の侵奪行為を正当化し、韓日関係の未来志向的な発展を妨げる行為だということを日本政府が深く認識するよう再度促す」と述べ、独島の領有権を脅かすいかなる行為にも断固として対応する姿勢を改めて表明した。

 担当課長レベルで日本大使館に抗議していた例年に比べ一段と強い対応を取ったことになるが、新学習指導要領解説書で波紋が広がった際、外交通商部長官が駐韓日本大使を呼んで抗議し、駐日大使を一時帰国させていたことに比べるとソフトな対応となった。政府当局者はこれについて、解説書では初めて独島領有権の主張が盛り込まれたのに対し、今回は毎年刊行される防衛白書での主張とあり、対応に違いが出たと説明している。

 予想していたとはいえ、悪材料が重なり政府は韓日関係をいかに進めていくべきかに頭を抱えている。独島問題は断固かつ厳正に対処するのが原則だが、この問題で韓日関係の全般に影響が出るのは好ましくないとの理由からだ。政府当局者は、「韓日間の協力はお互いのためのものであり、日本のためではない。協力関係を絶ったからといって日本の姿勢が変わる保障はない」と述べ、両国の協力関係は持続していく考えを示した。

 李明博(イ・ミョンバク)大統領も先月14日、独島研究所の開所を記念した懇談会で、「独島問題は領土問題としてしっかり対処する一方、日本との協力関係はそれとして維持していくべき」と述べ、対日外交で柔軟な対応を取ることを示唆した。

 しかし政府は、日本が韓国側の警告と是正要求に応じず「挑発」を続けている状況で、何事もなかったように両国関係を進めることもできず頭を悩ませている。11月ごろには日本で高校の新学習指導要領解説書が出るなど、さらなる悪材料も待ち構えている。

 外交消息筋は「間もなく就任する日本の新首相の外交政策を注視している。独島に対する日本政府の立場が大きく変わることはないだろうが、姿勢によっては未来志向的な両国関係に向けた新たな突破口を見出せる」と期待を示した。

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