【ソウル19日聯合】李明博(イ・ミョンバク)大統領は19日の特別記者会見で、米国産牛肉再輸入の決定をめぐる「拙速交渉」論争と再交渉を求める世論を勘案し、政権発足初期に韓米牛肉交渉の妥結を急いだ背景、現時点で米国と「再交渉」でなく「追加交渉」に乗り出した理由を詳細に説明した。
 李大統領は就任後、先進国への跳躍に向けては経済成長力の引き上げが至急課題であり、そのためには韓米自由貿易協定(FTA)の早期処理が重要で、またその障害となる米国産牛肉の輸入再開問題を迅速に解決すべきと判断していたと振り返った。その上で、「米国産牛肉の輸入を拒み続ければ、韓米FTAが年内に処理される可能性はほとんどないと判断した。米国との通商摩擦も懸念され、望もうが望むまいが牛肉輸入交渉は避けられないと考えた」と、当時の認識を正直に明かした。

 韓米FTAが締結されれば34万件の良質な雇用が生まれ、国内総生産(GDP)も10年間で6%以上増えるとの見通しを示し、「大統領として、こうした絶好のチャンスを逃したくなかった。何の努力もせずにチャンスの門が閉じられていくのをただ眺めているわけにはいかなかった」と強調した。さらに北朝鮮核問題まで重なった状況で、米国との関係回復の必要性も牛肉交渉妥結を急いだ背景になったとしている。

 一方で、こうした認識を基に交渉を急いだものの、輸入をめぐる問題やキャンドルデモを招くという過ちも犯したと正直に認めた。李大統領は「食の安全に対する国民の要求を深く汲み取れず、自分よりも子どもの健康を心配する母親の気持ちを細やかに察することができなかった」と述べた。「いくら至急に解決が求められる懸案だろうと、国民が結果をどのように受け入れるかをよく見るべきだった。この点に対して痛切に反省している」と謝罪し、国民の理解を求めた。

 続けて、現時点でこの問題を解決するために「再交渉」でなく「追加交渉」を選んだ理由を説明した。李大統領は、「国民の再交渉要求が高まるや、野党はもちろん与党内でも『再交渉要求を受け入れてみよう』『通商摩擦や国益の損害が生じても、今は事態を収拾する必要がある』との声が出た。国内問題であればすでにそのようにしており、自分の政治的立場だけを考慮すればためらわずに受け入れただろう」と述べた。再交渉を宣言すれば与党と政府は困難を免れることができ、自分としても非常に思い悩んだと、これまでの苦悩を明かしている。

 しかし李大統領は、「自分は大統領として国益を守り未来を考えずにはいられなかった。途方もない後遺症があることを確かに知りながらも、そうすることはできなかった」と力説した。韓国が生き残る道は貿易以外になく、そんな韓国が国際社会で信頼まで失えば未来がないと強調した。

 そのため、国民の健康権を守りつつも経済に悪影響を及ぼさない方法として追加交渉を選択したと説明し、「国民の皆さんがこうした事情を深く理解してくれれば」と述べた。

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