【ソウル16日聯合】北朝鮮で1990年代中盤に飢饉(ききん)と経済難で数百万人の餓死者が発生した「苦難の行軍」を経験した一部脱北者らが16日にソウルで人権団体「良き友人」の主催で記者会見を行い、北朝鮮住民の食糧事情ついて説明し、韓国政府に対し20万トンの緊急食糧支援を訴えた。
 2004年に韓国に入国したという女性は、北朝鮮に残る母親からの手紙の内容を紹介し「今も出産後の女性が飢えに耐えきれず農場で熟していないトウモロコシを食べているのが北朝鮮の現実」だと話した。

 農業関連機関に勤め2000年に脱北した男性は、金正日(キム・ジョンイル)総書記や体制のことを考えるとコメ1粒も送りたいとは思わないとしながらも「北朝鮮の同胞が置かれた境遇を思うと送らないわけにはいかない」と訴え、食糧支援の緊急性を強調した。自身も韓国の民間団体が支援したトウモロコシの配給を受けた経験があると明かし「人道支援には政治的論理やさまざまな疑心を持ちこまず、確実に必要なのであれば助けるべきだと考える」と述べた。

 この男性によると、金日成(キム・イルソン)主席の存命中、咸鏡北道は240万~250万人に必要なコメ50万トン(1人当たり1日500グラム)の食糧生産計画を策定したが、実際には30万トンも生産できなかったという。北朝鮮の耕作地は田んぼ60万ヘクタール、畑70万ヘクタールの計130万ヘクタールで、1ヘクタール当たりの平均生産量を1.5トンとして計算すると穀物生産量は195万トン、2トンとすると260万トン水準となるが、昨年は水害による減少量を10%とすると、生産量は175万5000トン~234万トンにすぎないだろうと分析した。

 中国の脱北難民や越境者らの話などから北朝鮮の実情を伝える隔月刊誌「臨津江」の編集長、チェ・ジンイ氏は、清津の病院では課長クラスの医師の月給が平均150ウォン、多くても数百ウォンにすぎないなか、市場ではコメの値段が4500ウォンにまで跳ね上がったと説明した。最近の食糧価格暴騰の状況を見ただけでも「苦難の行軍」の時期よりも事態は深刻だと指摘した。その上で、大規模な餓死者発生などの危機状況を管理する体系を韓国政府が設けるべきだと主張した。

 会見に出席した20人余りの脱北者らは。李明博(イ・ミョンバク)大統領にあてた訴え文を通じ「大量餓死が予見されており、いかなる条件も付けず今月中に20万トンのコメを北朝鮮に支援するよう措置を取ってほしい」と要請した。

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