【ソウル6日聯合】統一部下部機関の統一教育院が6日、「北朝鮮の理解2008」を発刊した。昨年度版では、金正日(キム・ジョンイル)総書記を「金正日国防委員長」と表記し、2000年の南北首脳会談が南北関係の転換点となったと述べているが、最新版では金総書記には肩書きを付けず「金正日」とだけ表記し、南北関係の転換点は南北基本合意書だと記述している。
 昨年度版は、「過去半世紀の間、南北は反目と妬みの歳月を過ごし、世界的な冷戦体制の中で南と北の対決意識は相対的に明白なものだった。しかし、2000年の南北首脳会談を機に南北関係の変化が可視化された」と記述している。同じ部分を最新版では、「分断以降、南北は反目と妬みの歳月を過ごし、世界的な冷戦体制の中で南と北の対決意識は相対的に明白なものだった。しかし、1990年代初めに脱冷戦という国際秩序の流れのなかで南北基本合意書を採択することで、互いに対する認識の変化が芽生え始めた」としている。

 最新版は、「2000年以降、交流協力の増大とともに南北は対決と反目、冷戦の白黒論理からある程度脱却し、和解と協力、脱冷戦の新たな目で相手を見守ることができるようになるなど、南北関係の変化が可視化された」と記述しているが、2000年の南北首脳会談については言及されていない。昨年度版にはあった南北共同宣言の意味に関する内容も見られないほか、「北朝鮮の理解のためのバランスのとれた認識」について言及しながらも、南北関係の特殊性関連の記述も盛り込まれていない。昨年度版では、南北関係を「国と国の間の関係ではなく、統一を目指す過程で暫定的に形成される特殊関係」と規定した南北基本合意書の内容を紹介し、特殊関係は永久分断ではなく統一に向かう過程において形成される暫定的な関係だと言及しているが、こうした内容も最新版からは削られている。

 また最新版では、北朝鮮に対するバランスの取れた視点の必要性を強調しながら、北朝鮮の実態を正確に認識する必要性を強調している。昨年度版が「われわれは北朝鮮を民族共同繁栄のパートナーとして認識する必要がある。そして南北間の軍事的対決構図から見たとき、北朝鮮当局は明らかにわれわれの警戒対象となり得るが、北朝鮮住民は将来的にともに生きていくべき同胞だという認識も必要だ」と記述しているのに対し、最新版は「北朝鮮は明らかにわれわれの警戒対象だが、北朝鮮住民は将来的にともに生きていく同胞だという認識も必要だ。しかし、こうした互恵的・協力的認識により北朝鮮の実態が歪曲(わいきょく)されてはならない」としている。

 統一教育院関係者は、こうした記述内容の変化について、過去の政権とは異なる角度から北朝鮮問題にアプローチするという点を反映したもので、過去がやや進歩的な視覚だったとすれば、現在はやや保守的と見ることができると説明している。

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