海外調査室が作成した報告書「原油高時代の長期化:可能性と影響」は、2002年以降の原油高上昇は人為的な供給削減による1970年代のオイルショックとは異なり、新興市場国の需要拡大、原油の生産環境の悪化、地政学的リスクの固着など構造的で複合的な要因に起因すると説明した。国際原油価格に対する各機関の中長期的な見通しは生産・需要増加に対する予想の差により大きな幅があるものの、ぎりぎりの需給環境が短期間で解消されるのは難しい点を考えると、原油価格は中長期的にも高い水準となる可能性が大きいと警告した。
報告書によると、原油価格の高止まりにもかかわらず世界経済は堅実な成長を維持してきたが、最近の実質原油価格の水準は過去最高に迫っているうえに上昇速度も急激で、原油高ショックのマイナス影響が可視化するリスクが拡大している。金融市場の不安、住宅景気の停滞なども重なり、マイナス影響の加重が懸念されると指摘した。原油高もショックを最小限に抑えるには、エネルギー効率の改善に向け政策的な努力を傾ける一方、エネルギーの安定的な供給先を確保するために資源外交を強化する必要があるとしている。
通貨政策面では、原油高による成長鈍化とインフレリスクのバランス管理の重要性を強調した。消費萎縮と一般物価の不安など2次的な影響を抑制することが緊要で、インフレーション期待心理を安定させるために通貨政策に対する信頼を維持することを、中央銀行として最優先課題に据えるべきだとした。
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