【ソウル19日聯合】国民はついに政権交代を選択した。1年6か月にわたり激しく展開された選挙戦は「李明博(イ・ミョンバク)大統領時代」を開いた。特に李明博氏が1987年の大統領直接選挙制の復活後、大統領選では過去最大の票差をつけ当選したことは、新たな変化を望む現在の国民の考えを克明に示すものだ。「李明博圧勝」に要約される第17代大統領選の結果が韓国の政党史と選挙史に投げかける意味は大きい。
 今回の大統領選で現れたキーワードは、「政権交代」だ。李承晩(イ・スンマン)政権当時から全斗煥(チョン・ドゥファン)軍事政権、盧泰愚(ノ・テウ)政権、金泳三(キム・ヨンサム)政権に至るまで保守政権が握っていた権力は、1997年の大統領選で金大中(キム・デジュン)政権に移動し、建国以来初めて与野党間の水平政権交代が実現した。今回の選挙で10年ぶりに保守政党が権力の中心に移動することになるが、これは地域的には湖南地方中心の執権与党を母体としていた金大中政権、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権から、嶺南地方中心のハンナラ党に権力が回帰したことを意味する。ただ、この過程で、2002年の大統領選挙まで死活をかけて行われていた進歩層と保守層の理念対決構造は弱まり、地域間・世代間の考え方の違いも相対的に緩和される様相を見せたことが新たな特徴だ。

 李明博氏は、湖南でも保守陣営候補としては過去2回の大統領選挙よりも比較的高い支持率を記録した。もちろん大統合民主新党の鄭東泳(チョン・ドンヨン)候補が光州、全羅道などで80%前後を得票し、嶺南では同じ保守陣営に分類される李明博候補と無所属の李会昌(イ・フェチャン)候補の票を合わせればその反対の現象が見られるが、地域主義対決構造が多少なりとも緩和したのではないかとの見方だ。

 嶺南と湖南の対決だったこれまでの大統領選の東西分割構造は、今回初めて首都圏で圧倒的な支持を受け当選した李明博候補の出現で変わることになった。5年前の大統領選で進歩改革陣営の候補として出馬した盧武鉉候補に情熱的な1票を投じた20~30代の有権者、80年代の学生運動出身世代が主軸となった40代の有権者も、今回は中道保守を目指す李明博候補に票を投じたものとみられる。これまでの枠組みを壊し、新たな大統領選挙の方程式が誕生したと言っても過言ではないだろう。

 昨年10月の北朝鮮の核実験後から1年以上も揺らがなかった「李明博優勢論」が最後まで続いた原動力とはなにか。専門家はなにより、経済回復に対する国民の欲求と、現政権に対する「審判」を主な要因と分析する。まず盧武鉉大統領と政府に対する極端な失望感と、過去10年間の民主化勢力による執権期間の改革路線に対する疲労感が少なからず有権者の意識に反映されたとみられる。今回の大統領選で有権者は、未来の政府の性格とビジョンを評価して投票するよりは、過去の政府の失政に対する評価と審判の意味で投票する傾向を見せたとの分析も出ている。このため「BBK疑惑」をはじめ、子どもの偽装就職、偽装転入など李明博候補をめぐるネガティブキャンペーンが続いたにもかかわらず、「どうであれ政権交代が優先」「無能よりも腐敗のほうがまし」という論理が有権者の間に広まったということだ。

 西江大学の孫浩哲(ソン・ホチョル)教授は大統領選の結果について、「広い意味では民主化10年、狭い意味では盧武鉉政権に対する審判」だとし、過去の政権に対する評価の意味での投票がすべてを支配したと分析する。その上で、旧与党勢力はどうしてこうなってしまったのか反省すべきで、逆にハンナラ党と李明博候補は謙虚な姿勢で新たな絵を描いていかなくてはならないと指摘した。

 経済再建が今回の大統領選挙を支配したのも特徴だ。鄭東泳候補は「良い経済と悪い経済」、文国現(ムン・グクヒョン)候補は「人間中心の本当の経済」を掲げ、李明博候補の経済公約を「開発独裁式経済」と評しおとしめていたが、大企業の最高経営責任者(CEO)出身の李明博候補が早くから手にした経済指導者のイメージは容易には克服できなかった。

 今回の大統領選で、旧与党勢力の既存の道徳性や改革制は色あせ、無能というフレームにはめこまれた半面、ハンナラ党は腐敗・守旧イメージから能力という新しいフレームを作り上げたとの指摘もある。

 また、有権者の保守化傾向もみられた。経営コンサルタントのユン・ギョンジュ氏は、「有権者の保守化を主導したのは年齢層では40代」と指摘し、5年前には盧武鉉氏が当選する支持基盤だった彼らが背を向けたのは、相当に保守化しているということだと述べている。同じ保守陣営である李明博候補と李会昌候補の得票を合わせると60%を超えるということもその傍証だ。

 政権交代について国民が大きな拒否感を持っていないということも、第17代大統領選が見せた指摘だ。いまや政権は成績により与野党がやりとりするものとの認識が自然に定着しつつあるともいえそうだ。
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