アフガニスタンで韓国人が武装勢力タリバンに人質に取られた事件は、42日ぶりにようやく解決した。世界的にも前例を見つけるのが難しいほどの大勢が一度に連れ去られたという点でも、国際社会の注目を集めた。最後に残っていた人質7人は現地時間30日、現地部族長老とイスラム圏の赤十字社である赤新月社を介し現地の韓国代表団に無事に引き渡され、前日に解放された12人とともに帰国の途につく。
 韓国政府は拉致された23人を取り戻すため、「テログループと交渉しない」という国際慣例を承知でタリバンとの対面交渉に臨む一方、イスラム圏を含む国際社会の友好的な世論を作ろうと懸命になった。事件初期に2人の犠牲者を出すという苦しみはあったものの、そうした政府の努力で21人の貴重な命を守るといる結実があった。しかし同時に、テログループと交渉するという「また1つのケース」を国際社会と韓国社会に残した。

 人質の大多数を死地から救い出したという点で、政府が憲法にある在外国民の保護義務を誠実に履行したことは確かだ。相手が人質殺害もためらわない武装グループだったため、政府の隠れた努力もそれだけ大きかったと思われる。青瓦台の千晧宣(チョン・ホソン)報道官が残りの人質の最終解放に先立ち、「薄氷を踏む思いで無数の課題と戦わなければならなかった」と明かしたことは、政府が直面した困難をそっくり示すものだった。

 政府は人質を救出するため、武装グループと妥協するというケースを国際社会に残すことになった。人質の数が余りにも多く、政府としても目をそむけることができなかったという面は確かにあるが、世界での数多くの拉致事件のうち、今回のように政府が国として事態解決を率先するケースはまれというのが専門家の一致した見解だ。そのため、今回の事件の勝者は世界に健在をアピールしたタリバンとの評価も出ている。政府が武装グループの要求を受け入れるケースを残したことで、世界各地に散らばる武装グループが「人質劇」の誘惑に打つ勝てなくなったとの指摘も免れない。

 また韓国社会でも、解決過程をめぐり多くの論争に巻き込まれる可能性が高い。政府が、人質となったボランティアを旅行危険地域のアフガンに送り込んだ京畿道・盆唐のセムムル協会と家族に対し、要した費用の請求を積極検討しているという話が伝えられ、その適切性なども議論を呼んでいる。また、政府が公式発表した人質解放の合意内容以外に裏取引があった場合、さらにその内容が外部に明らかにされることがあれば、収拾のつかない波紋を広げることは必至だ。


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