日本統治時代にサハリンに強制徴用された韓国系住民の帰還にかかる費用について、韓国側が一部を日本側に負担するよう要請したところ、日本政府は「韓日請求権協定ですでに解決した問題だ」として拒否する姿勢を示していたことがわかった。
 公開された外交文書によると、1976年に当時の外務部と中央情報部などが、日本政府がサハリン在住者の帰国問題に肯定的な兆しを見せているとして対策に着手した。外務部は、▼帰国者は原則として韓国に定着させる▼日本に到着後韓国に帰国するまでの費用と定着支援は韓国政府が負担し、日本到着から韓国に出発するまでの日本での滞在費は日本側が人道主義的見地から負担するよう交渉する▼サハリンから日本までの費用は帰国者の自己負担が可能――という点で対日交渉の方向性を固めた。

 この過程で政府は、過去にイスラエルに永久帰国するためソ連を出国したイスラエル人のケースを参考にし、私有財産の持ち出しが認められていたことから、これをサハリン在住者の帰国にもあてはめようとしていた。

 一方、韓国側の費用負担要請に対し、日本側は「結論から言えば費用負担は困難だ。費用問題は請求権協定ですでに妥結した問題であり、公式な論議すら困難だと考える」と回答した。また、私有財産の持ち出しについても、ソ連側との交渉は不可能ではないが、実質的にソ連側が応じる可能性はほとんどないとの見方を示した。

 日本側の消極的な姿勢にもかかわらず、韓国外務部長官は76年8月に駐日大使に送った訓令で「日本滞在と韓国到着までの費用の日本側全額負担、日本の民間団体の負担も可能」とする案を第1案とし、「日本滞在費は日本が負担、韓国到着までの旅費は韓国が負担」と譲歩する案を第2案として提示し交渉に臨むよう指示した。

 しかし日本側は交渉に応じられないとの姿勢を崩さず、外務部長官は日本政府に費用負担の意思がないものと結論を下し、韓国側の負担で帰国事業を推進すると大統領と首相に報告した。


Copyright 2007(C)YONHAPNEWS. All rights reserved.

Copyright 2006(C)YONHAPNEWS. All rights reserved. 0