政府当局者は30日、金英男(キム・ヨンナム)さん母子の再会に関連し、「全般的な北朝鮮拉致被害者問題の解決に繋がる機会となることを期待する」との考えを示した。
 非公式に行った会見の席で述べたもの。今後は離散家族面会の回数と規模を拡大し、後に問題解決に向けた画期的措置が実現されるよう、北朝鮮側との協議を続けていくとの政府の方針を明らかにした。また、英男さんが前日の記者会見で自ら北朝鮮に渡ったのではないと話した点に留意しているとした上で、「過去よりかなり前向きな姿勢」と評価した。

 同当局者は、これまで英男さん問題を北朝鮮拉致被害者485人の枠の中で管理し、数度にわたり北朝鮮側を説得した結果として今回の面会が実現したと説明、これからが始まりという姿勢で問題解決に向け努力していくと述べた。英男さんを「北朝鮮拉致被害者」と表現することをこれまで北朝鮮側は認めていないとの指摘が上がると、「英男さんは拉致被害者の枠の中で管理してきた」と再度強調した上で、今はその問題についてどうこう言うよりも、落ち着いて未来志向的な姿勢で進めていくことが問題解決に繋がると述べた。行き過ぎた追究は好ましいものではなく、結局被害は被害者本人と家族に向かうことになると指摘し、「拉致被害者問題は生死確認と面会を経て送還に至ることを究極の問題とし、静かに落ち着いた努力を傾けていく」とした。会見中は政府の政策方向について、数度にわたり「ゆっくり」「落ち着いて」という言葉を繰り返したことからも、慎重な様子が伺われた。

 拉致被害者・国軍捕虜問題に関しては、北朝鮮との協議と並行し、関係官庁と共同で正確な実態を把握し拉致被害者の家族の苦しみを解消するという立場から政策を進めてきたと説明するとともに、7月中に拉致被害者関連特別法を立件予告すると明らかにした。拉致被害者の実態についても、1段階作業が完了すれば適切な時点で発表する予定だという。

 英男さんの前妻で日本人拉致被害者の横田めぐみさんの問題について日本と協議するのかとの質問に対しては、「情報共有はするが政策的に協議することはない」と答え、日本政府自身が解決すべき問題だと述べた。

 また、英男さんのために離散家族面会行事の慣例になかった記者会見が開かれたことについて、「英男さんに対する関心が高く、ほかの家族の面会に影響を与えずに行事を円滑に進めるため行ったもの」と説明した。英男さんが崔さんら家族を平壌に招待したことについては、南北家族の再会問題は人道主義的なものであり、反対する理由はないとの考えを示した。

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