北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記が息子を後継者とするために残された時間は、長くとも10~15年程度――。米陸軍大学戦略研究所のスコベル教授が、論文「金正日と北朝鮮」の中で主張した。
 論文は、「北朝鮮の全体主義体制が直面している最大の挑戦は後継者問題」と指摘、昨年10月に中国の湖錦涛国家主席が訪朝した際、次男の金正哲(キム・ジョンチョル)氏が紹介されたとの説があることから、「特定の人物に対する後継者授業が行われている」との考えを示した。

 北朝鮮体制の先行きについては、金総書記が長生きすれば無事に後継者に引き継がれる可能性もあるとしながら、金日成(キム・イルソン)から金正日へと継承されたように成功する可能性は少ないと指摘した。継承に失敗すれば、いずれ全体主義体制が崩壊するか、90年代以降の中国のようにポスト全体主義に弱まるだろうと述べている。

 金総書記の権力は安定していて崩壊の危機はないと判断しながらも、数十年に及ぶ全体主義の結果、指導部も一般市民も気力を使い果たし、国の下部構造と資源が荒廃した状態だと説明している。こうした「疲れと消耗」で、反乱どころか抗議や反対すら起きないと指摘、一般市民はただ基本欲求を充足することに汲々としていると分析した。

 論文はこのほか、金総書記が事実上の絶対的独裁者でありながらも、父の金日成とは違って他人の意見を受け入れ、理念も国や社会の変革問題ではなく経済回復や政権強化に焦点を移している点なども指摘している。

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