シャトル外交が中断した韓日関係は依然として冷え込みが続く(聯合)
シャトル外交が中断した韓日関係は依然として冷え込みが続く(聯合)
一部から「外交の迷走」と指摘されながらも、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権はこれまで北朝鮮核問題、韓米同盟の見直し、韓日関係の冷え込みなどの外交懸案を比較的無難に乗り越えてきたと評価される。
 盧武鉉政権の外交はこの3年間、保守層からは左派的と攻撃され、進歩層からは親米的だと批判される板ばさみの状態が続いている。その中心に在韓米軍の戦略的柔軟性とイラク派兵、在韓米軍の削減と再配置、竜山基地移転などの懸案が存在している。しかしその中でも成果を挙げたものも少なくない。代表的な例が北朝鮮の核問題での進展だ。

ジア の最新ニュースまとめ

 北朝鮮の核問題はこの数カ月はこう着状態となってはいるものの、朝鮮半島の非核化原則を打ち出した昨年9月の6カ国協議共同声明の採択には大きな意味がある。これにより核問題解決の大きな柱ができたというのが内外の共通した認識だ。韓国政府はこれを基盤に、具体的な履行手続きをまとめるために総力を傾けているが、昨年末から続く北朝鮮の偽ドル紙幣問題や金融制裁問題などに直面している状態だ。韓国政府としては米朝間の対立で難関に立つ6カ国協議を正常化させるために全力を挙げている。

 一方、昨年11月に第13回アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が釜山で開催されたことは世界における韓国の位置づけを高めたケースとして評価される。多くの警備要員投入と釜山市民の積極的な協力の中で進められた会議では、21カ国・地域の総意をまとめた「釜山宣言」と「新ラウンド交渉特別声明」が採択され、核問題でも口頭声明が出されるなど、韓国の声価を高めた。

政権発足1年が過ぎた2004年に合意された米軍竜山基地移転と在韓米軍の削減・再配置などを骨子とする韓米同盟見直し作業も比較的順調に進んでいる。見直しの課題として多くの在韓米軍基地の返還が今年から始まる見通しだ。議論を呼んでいる戦略的柔軟性の問題も、韓国側が米国の世界軍事戦略変化に伴い戦略的柔軟性を尊重し、米国側は在韓米軍が韓国と韓国民の意志と関係なく北東アジア地域の紛争に介入することがないよう尊重することで合意した。

 韓国にとって頭の痛い問題だったコメ交渉は現在もくすぶってはいるが、国際社会との約束どおりに国会で批准同意案が処理され、今後の自由貿易協定(FTA)交渉に向けた基盤を設けたといえる。東南アジア諸国連合(ASEAN)とのFTA交渉では来年1月初めまでに40品目に対する譲許案をまとめ、来年3月までに譲許交渉終了、来年4月に商品分野の協定に正式に署名する予定だ。また米国とのFTA交渉も注目される。

 韓日関係は政治的な側面で悪化しているのが惜しまれるところだ。日本の政治指導者らによる靖国神社参拝が続き、島根県では「竹島の日」条例が制定されている。歴史認識をめぐる問題などもあり冷え込んだ韓日関係は、首脳間のシャトル外交も中断に追い込まれている実情だ。しかし、経済、文化など政治以外の分野での交流は大きな影響は出ていないのは不幸中の幸いといえる。

現時点での最大懸案は金融制裁と偽ドル紙幣をめぐる米朝間の対立をどのように克服し6カ国協議再開につなげるかだ。李根(リ・グン)北朝鮮外務省米州局長が来月初めにワシントンを訪問し米国側高官らとこの問題について話し合う予定となっており、6カ国協議再開の突破口となるか関心も高まっている。核問題をめぐる盧武鉉政権の外交能力は依然として試されているといえよう。



Copyright 2005(c) YONHAPNEWS. All rights reserved
 0