ローマ法王庁が、韓国の胚性幹細胞(ES細胞)研究と黄禹錫(ファン・ウソク)教授の論文ねつ造事件に対する懸念を表明した。
 ローマ法王庁生命アカデミー委員長のスグレシア司教が、このほどカトリック新聞社長の李昌永(イ・チャンヨン)神父と行った書面対談で「韓国社会が生命倫理に反し自身の利益を選ぶことは危険なことで、ブレーキを踏まずに坂道を下るようなもの」と述べ、韓国のES細胞研究に対する過度の期待を戒めた。

 生命アカデミーは生命倫理に関する問題を科学的に研究しカトリック教会の教えに基づいた文化育成に貢献するために設立された機関。ローマ法王庁が韓国のES細胞研究に対し直接意見を表明するのは今回が初めて。スグレシア司教は黄教授の論文ねつ造事件についても「どうしてES細胞を得るために人間の胚を破壊する特権を『科学の権利』と要求できるのか、その研究のための許可と金を得るためにどうしてうそがつけるのか、彼らの狂的な熱意はとても理解できない」と非難した。

 また「ES細胞は、殺された胚の生き残った一部分。この幹細胞はがんを引き起こす危険性を伴うほか免疫拒否反応を起こすこともあるため、疾病治療には適さない。ES細胞研究者はこの細胞ですべての疾病が治療できると言い切っているが、これはうそだ」と述べ、成体幹細胞が倫理的、医学的にも有用だというカトリックの意見を主張した。


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