<W解説>軍の不祥事が相次ぐ韓国、「尚武の精神」が変質している理由には日韓関係も(画像提供:wowkorea)
<W解説>軍の不祥事が相次ぐ韓国、「尚武の精神」が変質している理由には日韓関係も(画像提供:wowkorea)
兵士への不良給食問題、隠ぺいされた軍内セクハラ事件…。このところ、韓国軍をめぐって不祥事が相次いでいる。

中央日報は4日、「度を越した韓国軍の規律のゆるみ、指揮官から気を引き締めなければ」とのタイトルで社説を掲載。ハンギョレ新聞も2日、「閉ざされた軍隊文化」との表現を見出しに用いて、軍にはびこる問題点を指摘する記事を掲載した。

兵士に提供された食事が物議を醸したのは4月のこと。休暇から戻り、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため復帰前の隔離期間に入った兵士の投稿がきっかけだった。

陸軍第51師団所属とするこの兵士は、フェイスブックに投稿し、隔離中に提供されたという弁当の写真を掲載した。

使い捨ての弁当容器に盛られたのは、ごはん、キムチに少量の漬け物と鶏肉の炒め物。残り1つの枠には何も入っていなかった。投稿した兵士は「別の部隊での食事もそうなのか気になる。携帯電話も預け、テレビもなく、食事までこれでは、監房と何が違うのか」と怒りをあらわにした。

しかし、この投稿が明らかになってから、国防部や各軍が直ちに現状把握に乗り出すことはなく、国防部は当初、「全てのメニューが正常に提供されたものと判断している」と反論していた。その後、軍への批判が次第に高まる中、ナム・ヨンシン陸軍参謀総長が謝罪。ソ・ウク(徐旭)国防部長官が直接現場を訪れ、現場担当者から報告を受けた。

今回の問題は、隔離中に提供された軍の食事が粗末だという点に端を発し、次第に服務中の兵士が食事を適切に摂取できていないのではないかという疑問が提起されるまでに発展した。

東亜日報によると、今年の将兵1人の1日の給食費は8790ウォン(約870円)で、1食の単価は2930ウォン。人件費を勘案しても中高生の給食単価より低い水準という。

また、先月下旬には、韓国空軍の女性下士官が上官から受けたセクハラ被害を訴えた後、自殺する事件が発生した。

事件は先月31日に報道で明らかになったが、女性兵士が性的被害を申告した際、上官から問題を大きくしないよう圧力があったとされ、組織的に隠ぺいしようとした疑いが浮上している。

事件を受けてイ・ソンヨン(李成龍)空軍参謀総長は今月4日、辞任を表明。ムン・ジェイン(文在寅)大統領は6日、女性を追悼するため軍病院に設けられた追悼所を弔問に訪れ、「国が守ってあげられず、申し訳ない」と哀悼の意を伝えた。遺族に対し、徹底的な調査を約束したという。

その他、韓国軍をめぐっては、今年2月、北朝鮮の男性が泳いで韓国に亡命した事件で、男性が韓国側に上陸してから監視カメラが8回捉えたにも関わらず、監視兵がこれに気づかず、警備体制の甘さが批判された。

中央日報は、前述の社説で「規律の緩みが軍全体に拡大している」と指摘。その上で、「部指揮部の責任が大きい」と主張している。

ムン大統領は、女性兵士の弔問に同行したソ国防部長官に対し、「今回のことを機に、兵営文化を変えなければいけない」と改善を促したという。 

確かに、韓国軍の不祥事には、事実を事実として認めようとしない体質・兵営文化も関係していると思われる。つまり、韓国軍が長い間、誇りにしてきた「尚武の精神」が変質している理由には日韓問題も関係しているとみられる。

軍事友好国同士、または米国を含め三角同盟であるはずの韓国軍の駆逐艦が、日本の哨戒機に対して火器管制レーダーを照射する事件があった。「哨戒機の追跡目的ではなかった」、「遭難した北朝鮮船のためレーダー稼働」、「レーダー照射はしていない」など、本来、「尚武の精神」の基本・正直であるはずの軍の発表に、政治発言のような要素が見られたことを覚えている。

再発防止のための日韓共同調査団も構成されず、お互いの主張ばかりが羅列され、検証もなく蔵入りとなってしまったこの事件。軍は正直に軍の義務や尚武に充実するべきであり、政治家になっては困る。

日韓で起きる様々な問題を「反日容赦」や「反日無罪」の論理で放置している間、国内問題でも法治主義や善悪区別に混乱が起き、それが悪循環となることは社会だけではない。軍も同じだ。
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