【ソウル16日聯合】「韓国だけではなく、日本のためにも戦時強制連行の真相は必ず究明されるべきです」――。
 日本植民地時代に日本へ強制連行された韓国人の被害真相究明運動を行う市民団体連合「強制動員真相究明ネットワーク」の事務局長、福留範昭氏は16日、「過去史の清算は民主社会の必須要素」だとしながらこのように述べた。日本は過去に対する反省をしていないほぼ唯一の国で、この状態では未来に向けて進めないと指摘している。

 福留氏が日本による強制連行被害者に関心を持ったきっかけは約20年前にさかのぼる。文化人類学を専攻した同氏は、1980年から6年間にわたり韓国の啓明大学大学院に研究員として在籍、そのころから韓日関係に悩むようになった。帰国後は広島で慰安婦被害者の女性らと交流を深め、やがて韓人戦争遺族会の事務所に勤め始める。それを機に、強制連行された韓国人と戦争遺族が正当な補償を受けられるよう手助けしたいと思うようになった。「戦争で家族を失っただけでも悲しいのに、遺族はあまりにも厳しい状況で生活をしています。日本政府が当然補償すべき問題にもかかわらず政府は無視しており、このままではいけないと思いました」。

 福留氏は現在、会員とともに被害の実態調査に関して定期的に学術発表会を行うなど、真相究明に向け精力的に活動している。「真相究明は本来は日本政府がすべきこと」だとした上で、韓国の団体が代わりにその役割を果たしてくれており、感謝していると述べた。強制動員真相究明ネットワークも今後、日本政府や企業などからの真相究明資料の入手に注力するとしている。

 福留氏は、このほど発議された「過去史委員会の統・廃合法案」と関連し、法改正で過去史委員会が縮小されれば強制連行の被害実態調査に支障が出るとの懸念を伝えるため、15日に訪韓した。16日午後には、ハンナラ党や民主党など与野4党を訪問し、こうした内容が盛り込まれた声明文を手渡すとともに法改正の再考を求めた。

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