粛宗(スクチョン)を演じるチェ・ミンス(写真提供:OSEN)
粛宗(スクチョン)を演じるチェ・ミンス(写真提供:OSEN)
チャン・グンソクが主演する『テバク』。彼の久しぶりの主演作ということで大きな話題を集めたが、もう一つ見逃せないのは、名優たちが競演してドラマをさらに面白くしていることだ。その名優は、チェ・ミンスとチョン・グァンリョルである。

チェ・ミンス の最新ニュースまとめ


■あまりに有名な『砂時計

 韓国の個性派俳優の中でも際立っているチェ・ミンス。彼は『テバク』の中で19代王・粛宗(スクチョン)を演じるが、今まで多くの俳優が演じてきた粛宗とはかなり違ったイメージをかもしだしている。

 それが『テバク』に心地よい緊張感をもたらしている。そんなチェ・ミンスは、どんなキャリアを経ているのか。

 1962年生まれの彼は、芸能一家の二世として育ち、恵まれた容姿で自分の道を切り開いてきた。

 チェ・ミンスがよく演じた役は、困難にも屈しない強く無骨な男だ。

 肩に力をいれ、目を光らせる場面の連続。それが「タフガイ」とも呼ばれるチェ・ミンスの真骨頂だった。

 彼がそのイメージを固めたのは、有名なドラマ『砂時計』(1995年)だった。

 チェ・ミンスは、「俺、震えているか」というセリフで有名なジョン・テスの役で一気にカリスマ性を発揮した。その後、彼は悲壮感あふれる役を主に演じてきた。

 しかし、いつも「重みのある役」ばかりをやってきたのではない。1999年の映画『チュ・ノミョンのベーカリー』では、コミカルな演技も見せて、観客たちを大いに笑わせた。

 もともと下地があった。出世作であるドラマ『愛が何であって』(1992年)で彼は主人公のデバリ役で視聴者を楽しませた。

 保守的な家の長男と開放的な家で育った女性が夫婦として作り出すコミカルなシチュエーションは爆発的な人気を呼び、中国でも大変な人気を得た。今の韓流ブームの先駆けにもなっていた。彼自身は、いつも精一杯に演じてきただけだというのだが…。


■「怪優」というイメージ

 チェ・ミンスに会うと緊張してしまうという後輩の俳優は多い。彼は芸能界でも威厳をもって一目置かれる俳優なのである。

 2007年にはペ・ヨンジュンが主演した『太王四神記』に出演。そこで、演じた役は陰謀をめぐらす悪の帝王だった。

 凄味のある悪役だった。清々しいペ・ヨンジュンとの対比で、チェ・ミンスは『太王四神記』というドラマを強烈に引き締めた。

 しかし、以後のチェ・ミンスにはトラブルがつきまとった。暴行事件や訴訟問題で謹慎していた時期も長かった。いつしか「怪優」のイメージもつきまとった。

 そんなチェ・ミンスが再びテレビドラマに戻ってきた。『テバク』で演じる粛宗は、歴史のうえでも個性的な王であった。

 有能な政治的手腕を発揮する一方で、女性問題で様々な難題を引き起こしている。そんな「危ない国王」をチェ・ミンスが演じるから、さらに凄味が出る。

 特に、チャン・グンソクが演じるテギルとからむ場面は見モノだ。チェ・ミンスが出演することで、間違いなく『テバク』は面白くなる。


■出世作は『青春の罠』

『テバク』を彩るもう1人の名優であるチョン・グァンリョル。彼は李麟佐(イ・インジャ)に扮している。

 歴史上の李麟佐とは誰なのか。

 この人物は1728年に反乱を起こしている。21代王・英祖(ヨンジョ)が異母兄の20代王・景宗(キョンジョ)を毒殺したという容疑を高く掲げて、政権転覆をはかったのが李麟佐なのである。

 韓国の歴史上でも、大変なクセ者として知られる男を演じるチョン・グァンリョル。このキャスティングは最適だろう。それは彼の俳優キャリアが物語っている。

1980年、20歳のときにタレント・オーディションに合格して俳優を志すようになったチョン・グァンリョル。しかし、その後の彼はあまり注目されず、いくつかのドラマで端役として出演するだけだった。

 そんな中、彼の柔らかなイメージが大衆の目を引くキッカケとなったのが、1999年のドラマ『青春の罠』だった。このドラマでチョン・グァンリョルは、温かな優しさを持つヨンググ役を好演した。

 大きな注目を集めると、翌年にはドラマ『ホジュン』の主役に抜擢されて大ヒットに導いている。

 最高視聴率60%以上の数字を叩き出したこの作品で、彼は一躍スターダムにのし上がり、この年のMBC演技大賞の大賞も受賞した。


■演技に対する強烈な執着

 病人を身分差別することなく診るといったストーリーだけなら、これほど大ヒットすることはなかっただろう。『ホジュン』の最大の魅力はまさにどこにでも居そうな人間が変身したという点にある。

 若い頃は悪事にも手を染め、酒に溺れ、結婚した後は別の女性にも恋をするといった人間が、やがて偉大な医師になるという意外性が視聴者の共感を呼んだのである。この主人公をチョン・グァンリョルは好演して評価を不動にした。

 さらに、2006年には『朱蒙』で強烈なカリスマ性を持つクムワ王に扮した。絶対的な権力を握る王として君臨するが、その内に秘めたものは友と最愛の女性に全てを捧げる犠牲的精神だった。この役もチョン・グァンリョルにピッタリである。

「まだまだやっていきたいことはたくさんあります。私の演技に対する情熱は、とどまることを知りません。これからも様々な役柄を演じて表現していきたいのです」

 そう語るチョン・グァンリョル。長い下積みを経験した彼は、泥臭い役にリアリティを持ち込むことが巧みだ。

「死ぬまでではなく、死んでからも演じていくことが僕の夢です」

 そう語ったこともある。

「死んでからも演じる」というのは、演技に対する強烈な執着を感じる。

 なんといっても、演技に対するほとばしる熱情が、チョン・グァンリョルの最大の魅力だ。『テバク』でも、物語を大きく動かす重要な役を彼らしい個性で演じている。


文=「ロコレ」編集部
(ロコレ提供)

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