チョンウ
チョンウ
昨年末、ブームを巻き起こしたtvNドラマ「応答せよ1994」のラストカットを撮り終えた瞬間、男性主人公チョンウが誰より先にとった行動は、撮影現場のストーブを消すことだった。

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 現場の人たちが興奮したら、火事になってしまうかもしれないと思い、とった行動だったと話したチョンウは、演出を務めたシン・ウォンホプロデューサーと抱き合い、そこで初めて号泣したという。

 ドラマが終演し1か月ほど経った時点で、過去を振り返る彼の表情には劇中の”スレギ”がもっていた慎重さと遊び心がすべてこぼれ出るようだった。

 先月終演したtvNドラマ「応答せよ1994」で男性主人公スレギを熱演したチョンウにソウル市内でインタビューを行った。

 「何より、事故なくドラマを撮り終えたことに感謝しています。でも本当は、まだドラマが終わっていないように感じるのです。実感がわかない、ということですね。いまだにドラマの中にいるような気分です」。

 ドラマは、ソウルへ上京してきた地方出身の大学生たちが新村(シンチョン)の下宿で暮らしながら経験する出来事を描いた。94年度の学生生活を中心に、当時社会で流行していたイシューを扱い、視聴者の思い出を刺激した。

 俳優たちの新鮮な演技とクオリティの高い構成が好評となり、シンドロームを巻き起こした「応答せよ1994」。昨年末に放送された最終回は、11.9%という最高視聴率を叩きだした。

 作品で、男性俳優たちは本名ではないニックネームで呼び合っていたが、彼の名前は他でもない”スレギ(ごみ)”。初めてオファーを受けたときは、驚いたことだろう。

 「ええ?と驚きました。怪しくもあり、また面白いとも感じました。上手く演じられなかったら本当に”スレギ(ごみ)”と呼ばれてしまう、と思いました(笑)。そう考えると、スレギという単語のイメージを変えてくれたドラマではないでしょうか」。

 彼は序盤で衝撃的なほどに限りなく崩壊するが、ドラマが進むにつれてロマンティックに変わっていく”反転の魅力”を披露した。

 「とりあえず、かっこ良く見えないようにしようと思いました。状況自体がとてもすてきなキャラクターなので、演技は壊れなければ、と判断したのです。それで、状況に応じて見える姿の差が大きかったのでしょう」。

 彼は「実際、スレギの真剣なせりふは日常的な会話にちかい。でも、彼は少しおバカさんのように話したかと思ったら突然真剣に話すと雰囲気が全く変わってくる」とし「普段、あまりに壊れた人物であるため、普通にするだけでかっこ良く見えるのでは?」と分析してみせた。

 制作陣は、前作「応答せよ1997」と同様に「応答せよ1994」でも”夫探し”推理要素を入れ、ドラマのラストまで視聴者の気がかりを誘発。毎回、ドラマの随所に散りばめられたヒントを基にメディアやファンの推測が横行していた。

 「神経を全く使わないように、と努力しました。ソン・ナジョン(コ・アラ)の夫が誰かと監督に質問したことはありません。与えられた状況で僕が見せる姿を最大限お見せすれば良い、と思ったのです。でも、20話まで撮影して、最終話の台本が出るまでは僕自身も気がかりでしたよ(笑)」。

 長く記憶に残るシーンはどこか、と彼に聞いた。

 「まず、三豊百貨店の事故の話です。心が穏やかではいられませんでした。それから『星が輝く夜に』を聴くシーンも記憶に残っています。ナジョンとのプロポーズシーンも印象的ですね」。

 チョンウはこれまで映画とドラマに相次いで出演してきたが、「応答せよ1994」で人気を博すまでは、無名俳優にちかい生活を送ってきた。自ら「新人ではない新人」として数十年を生きてきた、と語る。

 「”夜明け前が一番暗い”という言葉がありますよね。ある意味、幼稚かもしれませんが、このような言葉が僕にとっては大きな力となりました。いまのように積極的に周りが僕に気づいてくれるのは初めてで、なかなか慣れないですね。プレッシャーにも感じます」。

 先ごろ、チョンウの自伝的なストーリーを収めた映画「風」(2009)がファンらの要請で劇場で再上映された。シン・ウォンホ監督が「風」を見てチョンウをキャスティングしたと話したように、彼にとっては意味深い作品でもある。

 「ファンたちがとてもありがたいです。こんなに昔の映画を…。再上映までしていただき、本当に感謝しています」

 映画の主人公があまりに”ラフ”な姿を見せているため、実際のチョンウも学生時代はそうだったのか、と尋ねると迷わず首を縦に振った。

 「映画に出てくる姿、そのままです。あれくらいは問題ないですよね(笑)。いまとなれば、全て思い出です。懐かしく思うこともあります」

 「今回の僕の経験を基に他のシナリオを書きました。内容上、『風』の後のストーリー。今回も良い方々と出会って映画として制作できればうれしいです」と話したチョンウ。

 最後にチョンウへ「応答せよ1994」は、どんな意味をもっていたのか聞いた。すると、やはり”釜山の男”らしい答えたが返ってきた。

 「『応答せよ1994』は”とってもかっこいい奴”として記憶に残るでしょう。かなりかっこいい奴で、良い思い出を一緒に作って友人のような存在です」。

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