パク・チュンフン
パク・チュンフン
映画「カムボ」(1986)でデビュー以降、28年間で40編の映画に出演してきた韓国俳優パク・チュンフン。トップ、あるいは上位にいた彼が今回初めて新たな仕事に挑戦した。それは、映画監督だ。

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 来る24日に封切られる彼の初演出作「トップスター」が公開され、彼は「10日間ほど寝ることができずにいる」と話した。「一喜一憂するのはやめよう」という気持ちでいるが、1日に何度も期待と失望が行ったり来たり。彼は「最近、小さな子どもようだ」と話す。

 「いま私が感じている幸運が終わったとしても、これまで祝福を受けた映画人だった」と何度も呪文を唱えてみるが、緊張の津波を目の前にしてどうしようもないようだ。

 「俳優とは感情を見せる仕事であり、監督とは考えを見せる仕事です。感情を見せることには慣れていますが、考えを見せるのは初めてのこと。初めてだから緊張しているのか、考えを見せること自体に緊張しているのか、自分でもわかりません」

 少し疲れた様子の彼は去る17日、ソウル市内でインタビューに応じた。

 「トップスター」は長い時間、芸能界に身を置いてきたパク・チュンフン監督にとって最もお馴染みの芸能界をテーマにした作品。芸能界の醜い一面とトップスターを目指す若者たちの夢と挫折を込めた。

 オム・テウンはどん底のマネジャー生活をしながら最高のスターを夢みる男性テシク役を、キム・ミンジュンは傲慢なトップスター、ウォンジュン役を演じた。2人の男性の間で葛藤する制作者ミナ役はソ・イヒョンが演じた。

 「私の姿がテイクとウォンジュンに投影されています。自分に対する反省文とでもいいましょうか?それとも、成長痛かな?世間との和解と言うならば、あまりに途方がないような気もして…(笑)。子どもの頃は勉強が得意ではありませんでした。私たちの時代は、勉強ができなければ劣等感を感じることになったので、思春期に私は、劣等感を感じて生きていました。でも、俳優となって人気を得てからは真逆になりました。自信がついて、20~30代には自分が世界の中心にいるように感じていました。若い頃は、謙遜しながら生きていたようには思えません。でも、何度かの浮き沈みを経験して『世間はそんなに甘くはない。慎重に生きていかなければ』と思うようになりました」

 「トップスター」は、浮き沈みが多かった彼の映画界生活が描かれている。

 「40歳を超えてから、いつも胸の中が息苦しいようでした。何かしなければならない話があるような…。成功するために走ってきた私の過ぎ去った日々に対して悔恨があったような気がします。いまから4~5年前、『逮捕王』を撮り終えた後、私が俳優として同じことを繰り返していると感じたのです。意味のない時間だと思いました」

 「トップスター」は、古典的な雰囲気をもつ。1980~90年代の映画のように起承転結がはっきりしていて、照明や音響効果は少々図式的だ。総合的には洗練されていない演出ではあるが、うっとりとするドラマは生きている。

 「私が俳優だったため、人々は厳密に映画を見るでしょう。俳優としての才能が監督まで続いているのか、という疑いもあるはずです。それで、懸念をもったまま撮影しました。結果が良ければ『やっぱり警戒したおかげで』と、結果が悪ければ『やっぱり懸念が現実に…』と思うだろうな」

 映画は、”食って食われる”映画界のストーリーがそのまま描かれている。”ナンバーワン”をめぐるテシクとウォンジュンの戦いは友情をかじりつつ、人生を疲弊させるのだ。映画は、これら道徳性の失墜の中で、むしろ道徳と価値を守らなければならない、と力説する。

 「私自身もそんな中で勝者として生きていた方ですが…。とてもし烈な世界といえます。勝者だったかのように見えますが、私もとても疲れてつらかったです。私は勝利に対する欲が、とても強い人なんです。ひょっとしたら、知性と自己統制で生まれつきの野生を収めることができるかが、私の人生の宿題です。うまく収めることができれば、成功的な人生を生きていけるのでは、と思います。どうですか?私とこの映画、似てますよね?」

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