ハン・ジヘ
ハン・ジヘ
衣装が毎回ほぼ変わらない。作業用の長ズボンに青のジャケット、ヘルメット。ヘアスタイルはショートカットで、顔はメイクすらされていない。いつもどっしり重い機械を好奇心いっぱいの子どものような目で見つめ、実験を試みる。最近は、やることが少しグレードアップしたが、出発は溶接工だった。

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 さらに、もみ合いも激しい。キックはもちろん頭突き、さらに相手を噛むなど、男性たちと対等に格闘するのだ。

 2001年、スーパーモデル選抜大会をきっかけに芸能界デビュー。以降、女性らしい姿を強調してきた女優ハン・ジヘが、力強く気さくな女性に変身し、視聴者のハートを掴んでいる。

 週末9時~10時台の視聴率1位を独占しているMBCドラマ「メイクィーン(MAY QUEEN)」のチョン・ヘジュを通して、彼女は度胸ある堂々としたキャラクターを演じているのだ。

 「久しぶりに思いっきり演じられる役に出合いました。けんかのシーンを控えているときは心配になり、1週間前から体をほぐして呼吸を合わせるなど、練習をたくさんしてきましたが、いざ撮影に入るとキックも高く入り、息も合ったので誉められました(笑)。堂々と力強くもキュートなキャラクターなので、演じていてとても楽しいです」

 造船業に身を投じた若者たちの夢と愛を描いたドラマ「メイクィーン」は、エンジニア=チョン・ヘジュの成長期でもある。つまり、ハン・ジヘの出演分量がとても多いのだ。また、ドラマが現代重工業がある蔚山(ウルサン)と釜山(プサン)で主に行われるため、毎週の移動距離も相当なものだ。

 ハン・ジヘは「撮影分量は多く、移動距離も長いのでとても疲れる」としながらも「精神的には清々しいです。それほど役柄、そしてドラマが楽しいということですね」と疲れを感じさせない笑顔を見せた。

 「毎日毎日、撮影現場に行くのが楽しみで仕方ありません。ヘジュがとても魅力的なキャラクターなので劇中でも撮影現場でも、愛されているということを強く感じます。どんなに厳しい状況でも相手を気遣い、屈せずに生きていくヘジュがとても美しい。蔚山市民も本当に力強い声援を送ってくれています」

 彼女の言葉通り、ヘジュは明るく温かい人物だ。どんな挫折にも屈することなく、再び立ち上がることができる。出生の秘密を抱き、貧しい環境の中、義母からは虐待を受けて育ってきたが、いつでもたくましい。典型的な”キャンディ型”なのだ。(キャンディ:アニメ『キャンディキャンディ』の主人公)

 これについてハン・ジヘは「キャンディはキャンディだけど、少し違う」と笑った。

 「一度怒ると方言が飛び出します。『寂しくても悲しくても、私は泣かない』ではなく、頭にくるとすぐにカッとなる性格です(笑)。そしてバイクをかっこよく乗りこなす”かっこいいキャンディ”ですね」

 しかし、ヘジュが抱える運命はとても重い。玉ねぎの皮を剥くように、1つ2つと現れる親が握った膨大な秘密は耐え難いほどだ。

 「正直、とてもつらいです。運命があまりに重く、事件が起こる度にヘジュは果たしてどんな表情をするのだろうか、どんな気持ちでいるのだろうか、といつも悩みます。私が経験したことのない出来事を演じなければならないので、過去の経験を膨張させたり、想像して表現したりしますが、それは容易なことではなくて…。でもヘジュは、どんなつらいことに直面しようとも弱さを見せず、一生懸命生きていく点が一種の突破口になります。こんなに一生懸命なヘジュを私も同じように懸命に演じています」

 彼女は「以前は上手くなりたい、という気持ちが先行していたため、オーバーになることが多かった」とし、いまは上手くやらなければ、という気持ちより真実を集めてベストを尽くしたい、という気持ちでいる。そうすることで、演技が気楽にできているという。

 ドラマは人気に後押しされ、来月末まで延長される予定だ。つまり、ヘジュの苦労と試練も続いていくということだ。

 「ヘジュの苦労には、恐らく終わりはないでしょう」と笑うハン・ジヘは「しかし、そのようなつらさに毎回打ち克つ姿を見ながら、視聴者が快感を得るのではないでしょうか。おかげで視聴率も高く、気分が良いです」と語った。

 ヘジュのつらい人生の中で、15年間思い続けたチャンヒ(ジェヒ)から捨てられる場面もあった。しかし、そんなヘジュをカンサン(キム・ジェウォン)が温かく見守る。

 彼女は「ヘジュにとってチャンヒは、ずっと抱えていかなければならない心の傷」とし、「まだカンサンはへジュンにとって、ありがたいパートナーでしかない。しかし、徐々に2人の距離が縮まっていくでしょう」と2人の未来を予告してみせた。

 造船業を背景にしている同ドラマは、撮影過程で異色の経験も多いという。

 「現代重工業の内部には誰も入ることができません。入るとしたらヘルメットを必ず着用し、長ズボンに運動靴を履いて、団体行動を取らなければなりません。中では個人行動は禁止、食事も全員で行い、トイレに行くのも大変です。しかし、内部ではとても大きな船を造るというかっこいい風景を見ることができるのです。とても不思議で異色の風景ですが、ドラマでその風景がみごとに描かれているので、胸がいっぱいになります」

 ヘジュになりきるのは良いが、たった1つだけ残念ことがあるという。女優であり、普段からファッショニスタと呼ばれているハン・ジヘとしては、ヘジュのダサい衣装が気にかかるのだ。

 「衣装が最も難しいです。貧乏なエンジニアなので良い服を着ることはできませんがあまりに田舎くさかったり、汚らしく着たりするのは嫌なんです(笑)。9話からは2~3着の衣装を着回すことになりますが、視聴者の中にもそんなヘジュの姿を残念に思っている方が多いようです。むしろ、良い衣装をうまく着る方が簡単だと思いました。次回の作品では、すてきな洋服を着こなす役を演じて、いまの鬱憤を晴らしたいと思います(笑)」

 2010年9月に結婚したハン・ジヘは「結婚したら感情的に豊かになり、安定した演技ができるようになりました」と語った。

 しかし、現在のところ母親になる計画はないという。

 「作品活動を続けていきたいです。いまは演技に拍車がかかった状態なので(笑)。『メイクィーン』からパワーをもらい、今後も楽しい演技をしていきたいです」

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