ドラマ「ウララ夫婦」
ドラマ「ウララ夫婦」
高麗時代にタイムスリップした整形外科医と2012年ソウルにやってきた朝鮮時代の皇太子、どちらがより滑稽だろうか。こんなこともある。事故後、目を覚ますと男性は女性に、女性は男性になっている。また、明らかに死を迎えたのに、幽霊となってよみがえる。韓国ドラマ界では、時空間崩壊や男女の入れ替え、この世とあの世の混在など境界を無視したストーリーを相次いで表現し、風変わりな見どころを抱かせている。固定概念をくつがえすのはもちろん、常識と慣習の崩壊からくる面白さが浮かび上がる。

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 これらのドラマは、現実では絶対に起こりえない出来事劇中を通して繰り広げられ、さまざまな想像力を発揮する。一度境界がなくなれば、あたかも魔法の中の「結界」が解けたかのように、いかなる内容も可能とさせる。ドラマ制作側は「無限の想像力を生かせるという点で、境界崩壊はドラマストーリーを拡張させる」と話す。

■過去と未来、どちらが馬鹿げている?=COEXモールにいたら突然、高麗末・恭愍王の時代にタイムスリップした整形外科医ウンス(キム・ヒソン)。彼女は、外科手術が不可能な環境の中で適応する方法を探しながら人々の命を救う。すべてが不便に感じる状況だが、薬草や漢方薬を知る面白さがある。一方で未来を既に知る者として、歴史の渦巻く中に置かれる自身の状況にはなはだ負担を感じる。SBS月火ドラマ「信義」。

 朝鮮の皇太子(パク・ユチョン)は自身を殺そうとする者たちを避け、馬に乗り林の中を走っていると、どういうわけか2012年ソウルのある屋根部屋に落ちて行った。四方にあるハングルと英語は読めるはずもなく、国民のおかしな身だしなみと行動に衝撃を受ける。しかし、スマートフォン、自動車、オムライス、ジャージなど一つひとつを知っていくうちに、便利な世の中が興味深いものになる。去る5月に終了したSBSドラマ「屋根部屋の皇太子」。

 そのほか「イニョン王妃の男」や「Dr.JIN」、「プロポーズ大作戦」など、ことしは時空間を越えたドラマたちが流行し、歴史をひねりながら時代劇をフュージョン化する楽しみを与えた。キム・ヨンソプSBSドラマ局長は「時空間を広げ、お決まりの展開から抜け出すためにどのような想像をするかによって、話がとても面白くなる」と話した。また「このような類のドラマが流行したのは、既存のストーリーに限界を感じたため」とし、「時空間の舞台が広がれば、予測不可能な方向へと話が展開し、視聴者に新鮮な面白さを提供することができる」と付け加えた。

■男性になった女性、女性になった男性、どちらがよりショック?=離婚の印鑑を押して出てきたその瞬間、交通事故に遭い夫婦の魂が入れ替わる。夫コ・スナム(シン・ヒョンジュン)の魂は妻ナ・ヨオク(キム・ジョンウン)の体に、妻ナ・ヨオクの魂は夫コ・スナムの体に入ってしまった。夫の浮気が原因で離婚したが、そのことで再び向き合うことになる。KBS2TV月火ドラマ「ウララ夫婦」。

 去る8日の第3話では、彼らがこのありえない状況にショックを受け、どうにかして戻ろうと奮闘する内容をコミカルに描き笑いを誘った。しかし、彼らの涙ぐましい努力はすべて失敗続きだ。ドラマはこれから、女性になった“マッチョ”コ・スナムと“カッと(怒る)男”になったナ・ヨオクが現実を受け入れ、それぞれ“女性体験”と“男性体験”をしながら、相手の立場になって考えることのメッセージを伝える。

 男女の魂が入れ替わるというストーリーは2010年「シークレット・ガーデン」で大きな人気を集めた題材でもある。韓国ドラマ「シークレット・ガーデン」は財閥の男と貧しいスタントウーマンの魂が入れ替わることで起こり、シンデレラシンドロームを刺激した。一方で「ウララ夫婦」は、子供を授かり生きていた互いに何も知らない夫婦が、魂が変わったことで互いを知っていくという内容だ。演出したイ・ジョンソププロデューサーは「30~50代の夫婦たちの生き方と愛、そしてなかなかわかってもらえない熱心に家事に従事する主婦たちと仕事にだけに熱中するが故、一人で孤独を感じる夫たちの話」と紹介した。

■生まれ変わった怨みの霊と幽霊が見える人の不可能な共生=貴族のお嬢様だったがある日突然、死を迎え怨みの霊となったアラン(シン・ミナ)が玉皇上帝の特別な配慮で生まれ変わった。玉皇上帝は現世を飛び交う悪鬼の芽を切り出そうとアランを生き返らせ、そんなアランに幽霊が見えるイケメン使道ウノ(イ・ジュンギ)を付けた。MBC水木ドラマ「アラン使道伝」。

 ドラマでは、玉皇上帝とえん魔大王が長期に渡り世間のことを論じ、彼らの操縦で現世が回っていく。現世には死神が休む間もなく出没し、アランとウノは現実では不可能な共生を継続しながら生死の境界を破壊する。そして人間と幽霊は同じだということに比重を置き、生死の境界が崩壊した際の災難も警告している。

 あるドラマ作家は「経験できない世界への好奇心を刺激するようなファンタジーは、長い間愛されてきた素材であり、今後もずっと生命力を培うだろう」とし、「他のドラマも同じだが、特にこの類は、話を広げた後に収拾をどのようにするかが成功の鍵となる」と話した。

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