PSY
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全世界の注目を集める韓国男性歌手PSY(サイ)のヒット曲「江南スタイル」のミュージックビデオ(MV)が、Youtube(ユーチューブ)で再生回数1億回を目前にしている。

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 去る3日夜の時点で、9600万回を記録。公開後、わずか50日余りのことだ。

 これまで韓国歌手が発表したMVの最高記録は、ガールズグループ「少女時代」の「Gee」8400万回(3日現在)で、2009年6月の公開から、3年かけてこの記録を達成している。この点から考え、PSYの「江南スタイル」は、かなりのスピードで記録を更新したといえる。

 PSYは「歌手人生を送る中で、このような日が来るとは予想もしていなかった」とし、「MVの公開は、韓国ファンのためだった」と語った。

 「江南スタイル」のMVは、YoutubeなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を通じて、瞬く間に全世界へと広まっていった。

 公開後、韓国ではパロディーMVも多数登場し、これらはYoutubeを通じて映像が公開された。PSYは、アイドルでないにも関わらず、海外ファンからも好評を得ている、という評価で徐々に注目度が加速。さらに、世界的スターであるジャスティン・ビーバーを育てあげたマネジャーのスクーター・ブラウンや歌手ケイティ・ペリーが自身のTwitter(ツイッター)で、同ミュージックビデオへの関心を見せたところ、さらなる人気を呼ぶことになった。

 このように米国で話題になると、PSYはジャスティン・ビーバーの所属事務所からオファーを受け、本人が直接米国を訪問。米楽曲配信サイト「iTunes」のミュージックビデオランキングで1位になるなど、人気は留まることを知らない。

 この人気に、飲料水や家電、ファッションメーカーは揃ってPSYへ広告モデルのオファーを出した。曲のヒットで売上高は100億ウォン(およそ7億円)を記録した、との報道も出ている。

 しかし、所属事務所であるYGエンターテインメントは「売り上げ=収益と誤解している人がいる」とし、「公演の売り上げも30億ウォンと算出されたが、制作費に多額の投資をし、かつ観客にCD3万枚を配ったため、利益はほとんど出ていない」と明かした。

■MVのオンライン波及力を再確認
 PSYの成功事例は、海外で活動する韓国歌手たちに新たな可能性を示してくれた。これまで、BoAやSE7EN(セブン)が米国進出のため現地に滞在。英語曲で勝負をかけたが、米国音楽市場の壁が立ちはだかり、これを超えることは難しいとされた。

 また、K-POPの熱狂的なファンが世界各地で増加していき、K-POPの影響力を見せ付けたが、現地文化の底辺にしっかりと地位を固めるまでには至っていないのが現状だ。

 このような状況で、PSYはただ1本のMVがYoutubeなどを通じて爆発的に拡散していったのだ。

 4日現在、Youtubeで「江南スタイル」再生回数を国別に見ると、米国:1750万回、韓国:1650万回、タイ:770万回で、その他の国でも多くの再生回数を記録している。

 音楽関係者は「PSYはYoutubeなどオンラインで人気を博し、海外の有力音楽関係者の目に留まったことで、世界進出につながった稀なケース」と分析する。

 これまで、MVの重要性を強調してきた所属事務所のヤン・ヒョンソク代表は「米国市場は、多くの歌手が挑戦しても簡単には成功できない場所だった」と振り返り、「これからは海外進出のために、こちらからドアを叩く必要はない。ノックの音が聞こえたらドアを開ければよい時代が来たようだ」と語った。

■「面白い奴」ではなく、完ぺきなステージを…PSY
 「江南スタイル」人気の理由には、ユニークな振り付け「乗馬ダンス」の存在がある。これはPSYが公演後の打ち上げで、あるダンサーの踊りを見ながらアイデアを得たという。PSYは「作曲者に著作権料が支払われるのと同様に、ダンサーにも著作権保護制度ができれば良い」と語った。

 PSYは5日に米国を訪れ、ジャスティン・ビーバーの所属事務所とタッグを組んで、現地でのプロモーション活動を行う計画だ。

 「海外で成功するのは二の次」とするPSYは「ただの面白い奴ではなく、涙と笑いを与えるような公演を披露し、真剣に音楽活動を行っている歌手だということを見せたい」と心境を述べた。

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