リュ・スンボム=28日、ソウル(聯合ニュース)
リュ・スンボム=28日、ソウル(聯合ニュース)
この10年間で少なくないフィルモグラフィーを築いた俳優リュ・スンボム。フィルム・ノワールからコメディまでさまざまなジャンルの作品に出演した。あまり知られていない短編映画への出演もあれば、アニメーション作品の吹き替えや特別出演で大きな印象を残した作品、撮影がとん挫したり、撮影はしたものの封切られないままの作品もある。ソウル・江南のカフェで28日に会った彼は、そのすべてを「過程」という言葉で表現した。
 
「作品は感じたままに選びます。『この作品が自分の芸術的価値の最後だったんだ』というのは、死ぬときに分かるでしょう。いや、死ぬまで分からないかも。作業が進まないときは苦しいですが、すべてが過程だと考えています」。

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封切り間近の最新作『容赦はない』も過程のひとつだが、ある種の変曲点となる作品でもある。リュ・スンボムは、この作品を通じ「現場での俳優リュ・スンボムと自然人としてのリュ・スンボムがぶつかり合うのを感じた」という。自身の未熟さを認める勉強の場となったというのだ。

演じたのは、信望厚い環境運動家だが、連続殺人鬼という男だ。解剖医を演じるソル・ギョングと対決する。これまでにも平凡な役を演じたことはほとんどないが、殺人鬼は初めてだ。

「キャラクターが強い、というのは褒め言葉だと思っています。キャラの力がなければ、描く必要がないかもしれないでしょう。ジャンルの特性上、映画自体のレベルが高いので、人物が強烈であって初めて、映画のインパクトも大きくなるでしょう」。

とはいえ、作品は「1人で脚本を読んで感じたものほどは強くはない」という。強烈な人物を深く掘り下げた出演作『死生決断』(2006年)は強烈な映画だったと説明しながら、『容赦はない』はジャンル性の強い映画のため、「大変映画的」だと紹介した。

『容赦はない』への出演を決めたのは、ソル・ギョングという先輩が選んだ作品だったからだ。映画の現場に出なくなってからかなり経ったころにオファーがあり、「ソル・ギョング先輩がすでに選択した作品だというので、出演の負担も軽かったし、信頼できる先輩との共演はどんなものだろうかと思って」。

思いがけず空白期間を過ごした彼だが、今は「とりあえずいっぱいやろう」と心に決め、仕事への意欲を燃やしている。キム・デウ監督作品『房子伝』の撮影が年明けに終われば、3月には実兄リュ・スンファン監督の新作の撮影に入る予定だ。相手役はこれまでにも共演しているファン・ジョンミン。「好みを共有できる、話しやすい先輩」だ。他人の目には「親しい人たちとの気楽な仕事」と映るかもしれない選択だが、「その懸念を打ち消していくことが宿題」だと話す。

「監督と俳優という以前に兄弟なので、兄と仕事するというのはとてつもない重圧感があるんです。ジョンミンさんとまた共演することについても、前作と似ているかどうか、評価は見た人たちが下してくれるでしょう。でも、簡単なゲームより難しいゲームがいい。だから、もっと激しい仕事をしていくと思いますよ」。


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