キム・ユンソク=(聯合)
キム・ユンソク=(聯合)
韓国映画『追撃者』が今年の最多観客動員数記録を更新した。元刑事で風俗店を経営する男、ジュンホを熱演したキム・ユンソクに大ヒットの感想を尋ねたところ、「体質的にそういうものを実感できないんで」と返ってきた。

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『イカサマ師』『天下の横綱マドンナ』『楽しい人生』などの作品で演技力には定評のあったキム・ユンソクだが、この『追撃者』を機に、映画不況でシナリオさえ枯渇しているという状況で唯一といっていいほど、多くのシナリオが舞い込む俳優となった。「数えたことはないし、埋もれるほどじゃないにしても、かなりの数を読んでいることは確か」と本人も認めているが、これはという作品はないという。成功の後にありがちな「次回作へのプレッシャー」のせいではと尋ねると否定したが、少なくとも『追撃者』と似たようなものであってはならないと考えていると答えた。そして、「昨日、地獄から抜け出してきた人に向かって、またあのどん底に戻れと言うんですか?少なくともスリラー以外の作品じゃないと」と笑った。

青少年観覧不可というレーティングの作品が、400万人を超える観客を動員したのは、期待以上の成果だ。大ヒットの秘訣は何だったろうか。

まずは「正面突破」だと言う。ストーリーは複雑に絡み合いどんでん返しがあるようなものではなく、最初から、連続殺人犯のヨンミンと彼を追うジュンホの2人で正面突破を図る。その力が人をひきつけて放さないのだろうと語る。トリックの妙味もなく、ビハインドストーリーもない。

次に、見づらく荒い映像だ。最前列に座った観客には相当つらいアングルだろうと笑う。華麗な技巧などはなく、ナ・ホンジン監督はわざとそうしたシーンをカットしてしまうほどだったという。かなり荒いカットが多いが、最近の米国ドラマや外国映画をよく見ている観客は、そうした映像の美学をむしろ楽しむようだと分析する。そして演技。観客のすぐそばにいる、どこにでもいるような人物が登場するから、観客により恐怖を感じさせ、緊張感を逃さない。

ジュンホに“追撃”される連続殺人犯ヨンミンを演じたハ・ジョンウは、現在、チョン・ドヨンとともに『素敵な一日』を撮影中だ。キム・ユンソクは、「若いからそんな風に仕事ができるんでしょう。私だったらできませんよ」とおどけてみせた。最近は『楽しい人生』のイ・ジュンイク監督らと飲みながら、映画の話をするなど楽しい時間を過ごしているとか。

次回作のジャンルも決まっていないのかと食い下がると、そんな風に考えて選ぶほど頭が良くないとかわされた。「気に入りさえすれば、ジャンルも何も関係ないですよ」
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