ペ・ヨンジュン主演の映画『四月の雪』が、海外では好評を得ている反面、国内では苦戦を強いられているという見方が支配的である。その視点は、『四月の雪』を超え、まるでペ・ヨンジュンが国内で惨敗して海外では大ヒットしているかのように思われる。ここに疑問を投げかけたい。もしかしてこの映画を見つめる我々韓国人の視点がゆがんでいるのではないだろうか。

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もちろん、絶対的な数値の前では前者の前提が正しいだろう。『四月の雪』は端的に日本では公開12日で観客数100万人を突破したのに比べ、韓国では公開24日目の9月30日までで、全国約81万人の観客を動員。10月1日現在、韓国では上映がほぼ終了し、81万人が『四月の雪』の最終スコアとなる見通しだ。だから、今の時点では「韓国にて惨敗、日本にて大ヒット」という言葉が出てきた。

しかしここで考えておく点が2つある。ひとつは『四月の雪』はペ・ヨンジュンの出演作という以前に、ホ・ジノ監督の作品であるという点だ。『8月のクリスマス』『春の日は過ぎゆく』で韓国ロマンス映画界にて自分だけのスタイルを確立している、存在感ある監督の作品なのである。もうひとつはホ監督がこれまでいわゆる“興行監督”ではなかったということだ。

韓国観客の脳裏には『8月のクリスマス』(1998)が、韓国ロマンス映画の新しいスタイルを開いたかのように刻まれている。『春の日は過ぎゆく』(2001)もまた、賛否両論が巻き起こったが、『四月の雪』に比べたらずっと暖かな反応だった。しかも2本とも、15歳以上観覧可で、18歳以上観覧可の『四月の雪』より有利な上映条件だった。もっと大事なのはそれぞれ、ハン・ソッキュ&シム・ウナイ・ヨンエ&ユ・ジテという当時最高の俳優の組み合わせを前面に押し出している点である。

しかし2本とも全国動員観客数80万人であった。『四月の雪』の成績とほぼ同じである。ある人は言うかもしれない。スクリーン数で差があるのでは、と。しかし『春の日は過ぎゆく』の場合もまた、上映当時は秋夕(チュソク/旧盆)連休だった。

結局このようなデータを見るとき、『四月の雪』は、“ホ・ジノスタイル”の特徴と限界を再度見せてくれた作品と言えよう。ホ監督は再び独特なロマンス映画を発表し、本人の力量分の観客を集めたのである。ある意味、胎生的な限界を孕んだまま出発した作品だった。

ところで不思議なことに『四月の雪』は、韓国内でもホ監督よりペ・ヨンジュンにフォーカスが合わせられている。“ヨン様”を連呼する日本でもないのにだ。『四月の雪』が海外ですごい話題となっているのは確かに“ヨン様”のおかげであるが、少なくとも韓国では『四月の雪』のペ・ヨンジュンは、『8月のクリスマス』のハン・ソッキュやシム・ウナ、『春の日は過ぎゆく』のイ・ヨンエやユ・ジテと同レベルなのである。彼らを凌駕するスーパースターではないのだ。

だからこそ『四月の雪』が韓国で惨敗したという見方と共に、それがまるでペ・ヨンジュンに対する国内外のファンたちの嗜好の違いから始まったものと決め付けるのは危険だと思われる。特にペ・ヨンジュンが出演したにもかかわらず韓国で興行に失敗したという視点から見つめるということは、悪く言えば“英雄を見ようとしない意地悪な心根”にも見える。

もちろん、韓国の観客によっては、男性主人公のキャラクターがペ・ヨンジュンという韓流スターのイメージと重なり、作品自体に集中するのを妨害となる場合もあるだろう。ペ・ヨンジュンをよく知らないトロント映画祭などで『四月の雪』がいい反応を得たのがその証拠だ。しかしだからといって、ペ・ヨンジュンではない他の俳優が『四月の雪』を引っ張っていってたら、韓国での成績がずっと良かったはずだと誰が保障できようか。

『四月の雪』の日本での興行成功はオマケである。日本ではうまくいったし、他のアジア国家でも、『四月の雪』は歴代の現地上映された韓国映画の記録を破り、健闘している。韓国映画界と観客は、これを誇りに思ってもよさそうなものである。観客動員で多少残念な成績だったとしても、間違った基準で1本の韓国映画とスターを取りたててこき下ろす必要はない。韓国でロマンス映画が80万人の観客しか集められなかったといって“惨敗”云々と言われたことはなかったではないか。

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