サムスンがキャンディであるか、そうでないかは重要ではない。シンデレラ論争もまた無意味である。

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三十路に入った女たちをひっくるめて呼ぶ隠語“サムスン”は、キム・ソナという女優を通して、お茶の間劇場に“潜入勤務”し始めてから1ヶ月で視聴率の高地を占領した。いつのまにかキム・ソナを自分と同一視し始めたこの時代の“サムスン”たち全員を催眠状態にしてしまったのだ。

MBC水木ドラマ『私の名前はキム・サムスン』は、文字通り、キム・ソナのモノドラマ(一人劇)である。このドラマはほとんどキム・ソナという女優に頼って進められている。ヒョン・ジノン(ヒョンビン)もまた、一見重要な配役に見えるが、彼はただサムスンの影のような役である。サムスンが動いてこそ、彼も動けるのだ。

ヒジン(チョン・リョウォン)は、本当はサムスンと表裏一体のような存在。サムスンの“希望声明”が、キム・ヒジンであった理由がそこにある。ヒジンという名前を使う彼女は、サムスンが夢見るもうひとつの自我、ただ女性性のみで作られたペルソナ(仮面)そのものである。2人の“ヒジン”の間を行き来するジノンの“二股”は、だからこそサムスンの手のひらの上から抜け出せない形になってしまう。

主に独白や独白のようなセリフが多いキム・サムスン(キム・ソナ)の話法は、最初から疎通を念頭においていない。サムスンはほとんどのセリフを一方的に語る。それが文句だろうが愛の告白だろうが、サムスンは一方通行の選手である。

ジノンに、「あなたが好き」と愛の告白をするタイミングもまた、不適切の極地だった。サムスンはジノンが昔の彼女ヒジンを恋しがる、それこそもっとも非理性的な瞬間にこのセリフを飛ばす。ヒジンの元へ行くために1秒もとどまりたくないと思っている男に、こんな告白をするというのは、最初から相手の同意を求めていない独白だったと言うことになる。

第7話で、サムスンとヘンリー(ダニエル・へニー)が、英語・韓国語・フランス語を混ぜて“会話”するシーンもまた同様だ。ヘンリーはどうせサムスンのおしゃべりを聞き取れない。このシーンは完全にサムスンのワンマンショーだった。

第8話で、サムスンは亡くなった父親の“精米所のキム社長”まで呼び出し、このモノローグの饗宴を完成させる。彼女の前に向き合った相手の任務は、サムスンの独り言をより味わい深くすることである。サムスンの話法はダイアログ(dialogue)ではなくモノローグ(monologue)だからだ。

キム・サムスンは韓国の学力では高卒が、フランス留学までしており、名前もまばゆい“パテシエ”という職業を持っている。“太め”と美しくないことを強調しているが、実はあまりに魅力的で、出来ないことなどないワンダーウーマンである。

視聴者の共感を引き出すために、無理して凡人であることを強調している彼女の正体は、このように超一流だ。ここまでくると、女優キム・ソナが5キロ以上体重を増やしてこの役をOKしたのも当然のことだろう。

ずっとクールな振りしていて、最も悪いタイミングに食らいつくサムスンの“ズレ”は、実際キム・サムスンという皮肉なキャラクターの本質で、同時に視聴者の同一視を壊さないための効果的な装置として作用する。

キム・ソナの華麗な個人技が最後まで緊張感を維持することができるかどうかが、『私の名前はキム・サムスン』の、人気の秘訣であると同時にアキレス腱でもある。

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