<W解説>元徴用工訴訟、原告側の賠償金受け取りを妨害する支援団体の不可解な行動(画像提供:wowkorea)
<W解説>元徴用工訴訟、原告側の賠償金受け取りを妨害する支援団体の不可解な行動(画像提供:wowkorea)
元徴用工訴訟問題をめぐり、韓国外交部(外務省に相当)は25日、韓国政府が発表した「解決策」に基づき、訴訟に勝訴した原告のうち存命の1人に対し、政府傘下の財団が賠償金相当額と遅延利子を支給すると発表した。存命の原告への支給は初めて。

元徴用工訴訟をめぐっては、韓国の大法院(最高裁)が2018年10月、雇用主だった三菱重工業と日本製鉄(旧新日鉄住金)に賠償を命じた。しかし、日本は戦時中の賠償問題に関しては1965年の日韓請求権協定で解決済みとの立場で、これを理由に被告の2社は履行を拒んだ。このため、原告側は、日本企業が韓国内に持つ資産を売却して賠償に充てる「現金化」の手続きを進めた。

元徴用工訴訟問題は日韓最大の懸案として、解決の糸口が見えずに月日だけが過ぎることとなったが、昨年5月、韓国でユン・ソギョル(尹錫悦)政権が発足したことを機に風向きが変わった。尹大統領は大統領選候補者時から日韓関係改善に意欲を見せ、政権発足後間もない時期に解決策を探るための官民合同の協議会を立ち上げるなど、問題解決に向けた動きを活発化させた。

そして今年3月、韓国政府はこの問題の「解決策」を発表した。その内容は、元徴用工を支援する韓国政府傘下の「日帝強制動員被害者支援財団」が、元徴用工らへの賠償を命じられた被告の日本製鉄や三菱重工業に代わって遅延利子を含む賠償金相当額を原告らに支給するというもの。これまでに、大法院の判決で勝訴が確定した原告は15人で、賠償金は遅延利息を含め約40億ウォン(約4億2000万円)とされる。現在係争中の訴訟についても、原告の勝訴が確定すれば、同様に対応する予定となっている。

韓国政府が解決策を発表した際、尹大統領は解決策について「これまで政府が、被害者の立場を尊重しながら、韓日両国の共同利益と未来発展に符合する方法を模索した結果だ」と強調した。

財団はこれまでに、勝訴した15人のうち10人の遺族への支給を完了。しかし、生存者3人と死亡者2人の遺族ら計5人は受け取りを拒否する意思を示していた。

韓国政府が説得を続けていたところ、存命の原告1人が態度を変え支給を申請した。韓国紙・中央日報によると、態度を変えた背景には家族からの強い求めがあったという。

韓国政府は今後、解決策の受け入れを拒否している4人に対し、引き続き理解を求めていく方針。

こうした中、韓国紙・朝鮮日報によると、元徴用工を支援する市民団体が、徴用工訴訟の原告と11年前に結んだ合意を根拠に、受け取った賠償金の20%を原告の遺族に要求していることが分かった。同紙によると、市民団体「日帝強制動員市民の会」の監事を務める弁護士は今月1日、財団から賠償金相当額を受け取った原告の遺族に対し、合意文書に基づく金銭の支払いを求める文書を送付。受け取った2億5631万3458ウォン(約2600万円)の20%に相当する5126万2692ウォンを市民の会に支払わなければならないとし、「協力をお願いする」と通告したという。合意が存在する原告5人のうち3人が死亡したが、3人のうち2人の遺族が政府の解決策を受け入れ、先月中旬に2億ウォンを超える賠償金相当額を受け取った。団体側は遺族が合意に基づいた支払いに応じなかったため、内容証明郵便を送ったという。朝鮮日報は「支援団体が当初、政府の解決策を批判し、賠償金を受領しないよう主張していたにも関わらず、いざ賠償金(相当額)が支払われると、金額の一部を要求してきたことに対し、遺族の一部は困惑している」と伝えた。

また、韓国紙・文化日報によると、この団体は政府の解決策を受け入れる意思を明らかにした元徴用工の遺族に手紙を送ったり直接訪問したりして、意思の撤回を求めたという。

元徴用工の支援を掲げて活動してきた団体が、政府の解決策を批判した挙句、原告遺族が受け入れる意思を示すや、合意を根拠に遺族に金銭を要求したり、撤回を求めたりする行動からはこの問題を真に解決しようという意思は感じ取れない。むしろ徴用工問題を「反日ビジネス」として利用しようとしているのではと疑いたくなる。与党「国民の力」のキム・ギヒョン代表は朝鮮日報の取材に「暴力団のみかじめ料とどこが違うのか」と批判した。

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