新型コロナにより韓国社会は多くの変化を経験したが、その中で「非対面診療」は国民の反応が非常によかった分野である(画像提供:wowkorea)
新型コロナにより韓国社会は多くの変化を経験したが、その中で「非対面診療」は国民の反応が非常によかった分野である(画像提供:wowkorea)
新型コロナウイルス感染症により韓国社会は多くの変化を経験した。これまでのどの時よりも、変化の幅が広くスピードも速かった。その中で「非対面診療」は反応が非常によかった分野である。新型コロナの感染を防ぐため一時的に許容されたことで、30余年間遅々として進まなかった「非対面診療制度化」の論議に拍車をかけることができた。

非対面診療を経験した医療消費者たちは、一様にその反応は「好評」であった。新型コロナ感染の懸念を払拭(ふっしょく)するだけでなく、診療のための待機時間と処方時間を画期的に減らした。忙しい会社員・育児に疲れた親・移動の困難な高齢者たちの不便を解消してくれたおかげで、非対面診療の累計件数は一気に3500万件を超えた。

国民の満足度は各種の世論調査でも確認することができる。韓国消費者院が実施した調査によると、遠隔医療の導入について92.6%の回答者が賛成した。国民権益委員会の調査でも、76.13%が導入に賛成した。「新型コロナ事態以降、最も必要な非対面の技術は “遠隔医療”だ」というキョンギ(京畿)研究院の調査結果もある。

韓国とは異なり、多くの先進国は非対面診療を導入し積極的に活用している。OECD(経済協力開発機構)38か国のうち非対面診療を導入していない国は、韓国が唯一である。全世界が非対面診療技術を発展させるため競争している中、韓国だけが革新の道から外れ後進的な医療サービス体系を固守している。

韓国でも「非対面診療」は、30余年前に示範事業が施行されていた。しかし利害当事者間の協議が進まない中、制度的に定着できずに終わった。しかし、いまや非対面診療を制度化することは避けられない状況である。「便利さ」を経験した国民に「不便な過去に戻れ」と強調することはできないからだ。

幸いことし中に、非対面診療の制度化は進展するものとみられる。しかし、これを論議する保健福祉部(厚生労働省の厚生部分に相当)の非対面診療協議体に、国民の声を代弁できる団体は含まれていない。かつてのように医師・薬剤師など供給者の意見だけが飛び交い、利害関係者たちによる既得権維持のための戦いだけが繰り返されれば、「需要者中心」の政策が導入されるのは困難である。しかも国会に係留中の関連法案も、一部の患者たけに非対面診療を許容する内容が主だっている。一部の疾患・一部の地域・特定の状況にだけ許容すれば、非対面診療法案が可決されても「多くの国民は依然としてこのサービスを利用できない」という矛盾した状況になってしまう。

非対面診療は、医療消費者たちの願う方式で導入されるのが望ましい。消費者がいなければ供給者も必要ないため「消費者に寄り添った供給者が生存する」というのが市場の法則である。対面診療は、アプリを開いて患者が医師を選ぶことができる。当然、消費者の要求に対し敏感にならざるを得ない。このようなシステムが、医療サービスの競争力と生産性を高めるきっかけになるだろう。

かつて政府は「個人事業主を保護する」という名目で、大型スーパーに対し義務の休業を強制した。またタクシー運転手たちの生存権のため、ウーバーイーツなどを禁止した。消費者の要求を無視する政策は消費者の犠牲を強要するだけで、意図していた目標を達成することはできない。非対面診療の制度化に国民の意見を反映させなければならない理由もここにある。一日も早く非対面診療サービスが制度化され、消費者たちがその恩恵を受けることができることを願う。

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