週52時間制の韓国、ツイッターコリアは雇用中止・廃業となるのか=韓国報道(画像提供:wowkorea)
週52時間制の韓国、ツイッターコリアは雇用中止・廃業となるのか=韓国報道(画像提供:wowkorea)
最近、アメリカのビッグ・テック業界に“厳しい風”が吹いている。Twitterはイーロン・マスク氏が会社を買収直後、半分以上の社員を解雇し、FacebookとInstagramを運営するMetaは1万1000人の社員を整理解雇する計画を発表した。米Amazonも社員を1万人以上縮小する歴代最大のリストラを始めた。

 これらの企業は全て、世界中に支社を持つグローバル企業だ。ところが最近、ビッグ・テック業界の専門家が興味深い展望を出した。Twitterが今後、労働法に厳格な国での雇用を中止するだろうという主張している。代表的な例としてはヨーロッパの国家などだ。

 UberやSkypeなどでエンジニアとして活躍したGergely Orosz氏は、今月16日に自身のTwitterに「ヨーロッパのように労働法が厳格な国でも長時間勤務やずば抜けた成果だけが合格点をもらえる政策が興味深い。大量解雇を進めているTwitterはこのような国で簡単に雇用を中止したり廃業したりするだろうと思う」と述べた。

 アメリカは、「at will employment(思い通りに雇用する)」という雇用文化を持っている。韓国とは違い、特に解雇事由がなくても社員を解雇できるのだ。

 マスク氏のTwitter社員の解雇方法は、解雇が自由なアメリカでも相当な衝撃を与えた。アメリカのメディア「The Verge」などによると、約7500人に達していたTwitter社員は3週間で2700人に減った。社員の3人中2人が一夜にしてクビになるという状況になったのだ。

 別の衝撃は、マスク氏の「職場観」だ。Twitterはワークライフバランスがいい企業と言われていた。一方、マスク氏は「成功しようと思うなら週80時間から100時間は働かなければならない」という“働きバチ”だ。Twitterを買収したマスク氏は自宅勤務文化からなくした。そしてCNNの報道によると、マスク氏はTwitter社員にこのような内容のメールを送ったという。

 「ハードコアに働くか、そうでなければ退社してください。高強度に長時間働けということです。ずば抜けた成果だけが合格点をもらえるのです。」

 社員はこのメールに「YES(同意)」をクリックしなければならない。もしクリックしなければ、3か月分の賃金を受け取って退職することになるという内容も付け加えられていたという。マスク氏はいかなる“アメ”もなく、Twitterの経営方針を鮮明に見せた。

 韓国もマスク氏の振る舞いから自由にできない。Twitterコリアは、10月現在で国民年金を納付する社員が23人だ。Twitterコリアの正社員の解雇規模は明らかにされていないが、PR業界によるとコミュニケーションチームの全員が解雇されたという。

 しかし韓国は、勤労基準法上「正当な理由」なく解雇することは不可能だ。また解雇を決定しても30日前に予告しなければならず、これを守らなければ解雇予告手当を支給しなければならない。もし社員が解雇されるだけの正当な理由がないと主張したら、法的判断を経て解雇決定が無効になる可能性もある。

 Twitterコリアを担当する雇用労働部(部は日本の省に当たる)ソウルカンナム(江南)支庁でもTwitter側に行政指導のため何度か会社と接触を試みたという。しかしTwitter側でもぐりこんでしまい、特に進展はない状況だ。雇用労働部の関係者は「連絡が取れず、Twitterの江南事業所まで行ったが、すでに2年前から在宅勤務に切り替わっていた」と述べた。Twitterの人事チームが各国の労働法を考慮して解雇メールを送ったのではなく、“無差別解雇爆弾”を落とした状況であることははっきり見えている。

 韓国より労働法が厳格なヨーロッパ各国のTwitter社員に解雇メールが送り飛ばされたという。スペインは早くも労働部が動いている。スペインのヨランダ・ディアス労働・社会経済大臣は「全ての会社は労働権を遵守しなければならない。Twitterも例外ではない。勤労監督官がこの事件に対する措置を取っている」と今月8日、自身のTwitterを通じて明らかにしている。

 解雇方法だけでなく、今後Twitterの長時間労働が韓国の法に触れる素地もある。マスク氏はTwitterの社員に週84時間を働くよう指示したと米・CNBCが報道している。アメリカは、ホワイトカラーエグゼンプション(労働法上の規制を緩和・適用免除)があり、年俸10万ドル(約1390万円)以上の事務職勤労者は労働時間を制限しない。しかし韓国は雇用労働法上、52時間以上働くことを強要できない。キム・ユンジョン弁護士は24日、イーデイリーSNAPTIMEとの通話で「Twitterコリアは国内の法人と事業者という会社なので、国内法が適用される。週52時間以上の仕事を強要したらこれは刑事法で処罰される」と述べた。

 Gergely Orosz氏の展望のように「高強度で長時間働く」ことが勤労基準法上不可能な国はTwitterが廃業を決定するのだろうか。可能性はある。Twitterは韓国でウォン貨決済を全く支援しないでいる。有料サービスのTwitter Blueもアメリカやカナダなどに迂回して決済しなければならず、Twitter広告を利用するためにはIO(広告注文書)を作成し、シンガポールにあるアジア太平洋支社にドルで送金しなければならない。あえて韓国法人を通じなくても金を稼げる構造なので、労働法紛争より廃業を選択する可能性があると見られる。ただ、まだ解雇されたTwitterコリアの社員は地域の労働委員会に異議申請をしていない状態だという。

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