韓国の大手病院で看護師が死亡…背景に医師の人手不足(画像提供:wowkorea)
韓国の大手病院で看護師が死亡…背景に医師の人手不足(画像提供:wowkorea)
韓国メディアのソウル経済新聞は7日、ソウル・ソンパ(松坡)区にあるソウルアサン(峨山)病院の看護師が勤務中に脳出血で倒れたが、手術する医師がいないため、ソウル大学病院に移送したものの死亡した事件を巡って世論の関心が高まっていると報じた。

 4日、医療界などによると、ソウル峨山病院の看護師である30代のAさんは先月24日未明、出勤直後に激しい頭痛で倒れた。病院内の医療スタッフがAさんに下した診断は脳出血。医療スタッフは直ちに救急室で血管内の塞栓を利用して血流を防ぐ塞栓術の処置をしたが、出血は続いたという。

 結局、Aさんはソウル大学病院の救急室に緊急搬送された。峨山病院側は当時、救急室に脳出血手術が可能な神経外科医は不在で、転院措置が避けられなかったと説明している。手術が可能な専門医は休暇中であったことが分かった。Aさんは意識を取り戻せず死亡した。

 医療界からは、国内屈指の病院が救急に手術する医師がいないという理由で、看護師を死亡させたのは病院側の過失という批判が殺到している。

 保健医療労組は最近、声明書を通じて「上級総合病院が緊急に手術する医療スタッフがいなため、他の病院に移送しなければならなかったという事実に遺憾を表明する。患者が365日、24時間発生する条件下で、学会や休暇などにも対応できるシステムが必要だ。各種の評価もこれを基準に行うべきだ」と発表した。

 保健福祉省は今回の事件と関連し、必須医療拡充案作りに乗り出していると発表。同省のソン・ヨンレ報道官は5日の会見で、「さまざまな困難な環境のため、医療提供が円滑でない必須の医療部分を拡充・強化するために、総合的な対策を用意している」と述べた。

 国民日報の5日付社説では、今回の事件について「5大病院でもこうである。一般総合病院や地方病院はどうだろうか。今回の死亡事件と似たような事例が、医療現場では一度や二度ではないという関連学会の指摘がでたらめではないだろう」と憂慮した。

 続けて「高齢化とあいまって医療需要が急増しているのに、医学部の総定員が17年間そのままだというのは話にならない」と、政府の対応を批判した。
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