テラやルナだけでなくステーブルコインのテザーの「USDT」の価値も不安定に=韓国報道(画像提供:wowkorea)
テラやルナだけでなくステーブルコインのテザーの「USDT」の価値も不安定に=韓国報道(画像提供:wowkorea)
韓国発の暗号資産「テラ(Terra)」と「ルナ(Luna)」の価格崩壊が起こって以降、ステーブルコイン時価総額1位のテザーの「USDT」にもやはり構造的な弱点があると指摘されている。USDTは無担保アルゴリズムがベースになっていたテラよりも比較的安定的な「法定貨幣担保型」ステーブルコインだが、これにも損失の可能性と構造的な弱点があり、ステーブルコインの金融安定をおびやかす可能性が大きくなっていると懸念されている。実際に「テラショック」以降、USDTで時価総額2位のサークルの「USDC」への資金移動が続いている。

テザーは米ドルを担保にして1ドルの価値を維持することを目指すステーブルコインだ。テザーはテザーリミテッド社が保有している法定貨幣価値分だけUSDTを発行する。1ドルの価値の維持は差益取引の誘引を通じて行う。もし、1USDTが1ドル以下に下がると、投資家はUSDTを買ってテザーリミテッドに転送して1ドルを受け取り、これを通じて乖離(かいり)率が消える仕組みだ。

テラショック以降、USDTは1ドルとの価値の連動が崩れた状態におちいっている。USDTが0.995ドルに下落した5月10日以降、現在まで1ドルを回復できずにいる。テザー社はUSDTが1ドルを割ったからといってUSDTの米ドルとの連動が崩れたわけではないと主張している。しかし業界ではテラショック以降、テザーの安定性に対する懸念が広がっているものとみている。

特に、テザーのUSDTにも構造的な脆弱(ぜいじゃく)性があると分析されている。まず指摘されているのは、テザーの準備資産に対する信頼性が低い点だ。テザーの準備資産は現金資産(現金、銀行預金、MMF、米国債)だけでなく、企業手形および譲渡性預金証書、担保融資、社債、デジタルトークンなどの危険資産が含まれている。金融アナリストのイム・ミノ氏は「最近危険資産の比率を下げて米国債や現金資産の比率を高めているが、依然として価格変動性にさらされている」と述べ、「短期的なショックに対してぜい弱だ」と語った。

また、テザーの準備資産公示に対する信頼度も低いことが指摘されている。過去には、実際に預けたドルよりもステーブルコインを過度に発行していた疑惑が持ち上がった。実際、米国商品先物取引委員会(CFTC)は2016~2018年にUSDTより銀行口座準備資産が不足していたことを明らかにし、この疑惑によりビットファイネックスとテザー社に罰金4100万ドル(約55億円)を課した。

テザーは実質的に現金化することにも制約がある。テザーを現金化するためには最低10万ドル(約1340万円)からしか交換できず、テザーの引き出しには1000ドル(約13万4000円)か、または0.1%のうち、高い金額が手数料として請求される。イム氏は「個人投資家は実質的にテザーと直接取引するよりも取引所で現金化するしかない」と語り、「テザーは表面的にはマネーマーケットファンドとしての性格を持っているが、実質的には閉鎖型ファンドの形態に近いとみることができる」と説明している。

これとともに、仮想資産市場の特性に伴う流動性や脆弱性の問題もある。仮想資産のマーケットは24時間運営されている一方で、準備資産である企業手形やマネーマーケットファンド(MMF)、社債などは取引終了時間が存在し、大量のUSDTの売り注文が米金融市場の終了後に入ると、現金を調達できるオープンマーケットが存在せず、価格が暴落する可能性がある。イム氏は「テザーなどの法定貨幣により担保されているステーブルコインは、テラのようなアルゴリズム型ステーブルコインに比べて安定性が高い」としながらも、「当局による規制や安全装置がなくては投資家の安全が確保されず、金融安定リスクの要因になりうる」と強調した。
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