(画像提供:wowkorea)
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韓国の元慰安婦イ・ヨンス(李容洙)さんが先月26日、慰安婦問題を国連拷問禁止委員会(CAT)に提起すべきだと訴えた。

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CATは1987年に発効された拷問等禁止条約に基づき、批准国家の履行状況を監視する組織として設置された。世界の人権専門家10人の委員で構成されている。条約に韓国は1995年に、日本は1999年にそれぞれ批准している。CATは慰安婦日韓合意をめぐり、被害者への救済や賠償が不十分として2017年に見直しを勧告したことがある。

イさんは先月26日に記者会見し、慰安婦が受けた”被害”は拷問や非人道的な待遇に当たると主張。ムン・ジェイン(文在寅)大統領に送る手紙の文面を読み上げてCATへの付託を促した。

イさんは「ムン・ジェイン(文在寅)大統領様、私の手を取って国連拷問禁止委員会に行きましょう」とし、「全世界の被害者のため、韓国政府が国連拷問禁止委員会に慰安婦問題を持ち込み、日本が慰安所を作って運営したことは戦争犯罪であり、反倫理的行為だったとの判断を受けてほしい。どうか、大統領の任期を終える前に歴史的一歩を踏み出してほしい」と述べた。

慰安婦訴訟をめぐっては、イさんら元慰安婦と遺族の計20人が日本政府に損害賠償を求めていた訴訟で、ソウル中央地裁は今年4月、原告の訴えを退ける判決を下した。国家は他国の裁判権に服さないとする国際法上の「主権免除」の原則や、2015年の日韓慰安婦合意の有効性を認め、原告の訴えを却下した。

一方、ソウル中央地裁は今年1月、他の元慰安婦らの訴訟で、日本政府に賠償を命じる判決を出しており、慰安婦訴訟をめぐって裁判所の判断が分かれた。

イさんは、4月に敗訴した際、オランダのハーグにある国連の主要な司法機関「国際司法裁判所(ICJ)」について取り上げ、「国際司法裁判所に行って過ちを明らかにしてもらうことが、私が願っていること」と述べていた。

今回、イさんがICJではなく、CATへの付託を提案したことについて、韓国紙の中央日報は、CAT付託はICJへの付託と異なり、日本側の同意は必要とせず、韓国政府の意思だけで可能なことや、韓国政府がICJへの付託決定を先送りしている中、進展しないことに対する次なる策として掲げたものと分析している。

韓国政府はイさんがCATを通じて慰安婦問題を解決するよう求めたことに、「慎重に検討する」と述べるにとどめた。

イさんは26日の会見で「これ以上待つことはできない。私たち(元慰安婦)がみんな死んだらどうなるのか」と早期の解決を求めた。

イさんは現在、公式的に92歳と高齢だ。また、韓国政府が認定している元慰安婦のうち存命者は13人となっている。ムン大統領の任期も残り少なくなる中、韓国政府は元慰安婦の訴えにどう対応するのか。

「国際司法裁判所(ICJ)」ならば、慰安婦の拉致説などがそれなり検証される可能性があるが、「国連拷問禁止委員会(CAT)」は付託の性格が全然違う。形式的にはイさんから韓国政府へのお願いとされているが、実質的には韓国政府の新たな慰安婦戦略である可能性もある。

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