文在寅大統領(左)と菅首相=(共同通信=聯合ニュース)
文在寅大統領(左)と菅首相=(共同通信=聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が東京五輪中に日本を訪問しない方針を決めた。現時点での訪日は実益を期待するのが難しいという判断によるものとみられる。 この決定により、一部では日本との関係改善がさらに難しくなったとする懸念も出ている。 ◇歴史問題の解決巡り平行線 日本大使館高官の不適切発言も影響 文大統領と青瓦台(大統領府)はこれまで、「首脳会談の成功および実質的成果」を訪日の条件として掲げ、東京五輪開会式の4日前に当たるこの日まで実務交渉を行ってきた。 韓国大法院(最高裁)が強制徴用被害者への賠償を日本企業に命じたことに対し、日本側が事実上の報復として対韓輸出規制を強化したことについて、韓国側はこれの撤回を含め、歴史問題を解決するための措置を求めたものの、日本側が応じなかったと外交関係者はみている。 文大統領はこのような状況で訪日して首脳会談を行い、成果なく帰国した場合、韓日関係の主導権を日本にわたすことになる懸念があると判断したとみられる。 国内世論も判断材料になったとみられる。世論調査会社リアルメーターが先月25日に成人500人を対象に行った調査の結果、東京五輪に合わせた文大統領の日本訪問について60.2%が「反対」と答えた。 また在韓日本大使館の相馬弘尚総括公使が韓国メディアとの懇談で、文大統領の韓日関係改善に向けた努力を不適切な表現を用いて批判したことも、訪日を見送った理由に挙げられる。 青瓦台の高官は記者団に対し、相馬氏の発言が伝わってから青瓦台内の雰囲気が変わり、首脳会談開催に懐疑的になったと説明した。 一部では新型コロナウイルスの流行の「第4波」が国内で本格化していることが、文大統領の海外訪問に対する足かせになったとする見方も出ている。 ◇冷え込みが長期化 文大統領の任期内の好転は困難か 今回の決定で韓日関係はさらに冷え込みが厳しくなる見通しだ。 絡まった糸のような両国関係を解くためには、首脳間の虚心坦壊な対話が効率的と考えられるものの、両首脳は先月英国で開かれた主要7カ国(G7)首脳会議や今回の東京五輪でも会談の実現に失敗した。 相馬氏の不適切な発言に加え、防衛白書で独島の領有権を主張するなど、日本側が韓国の国民感情を逆なでする事件が続いている。 また、韓国は来年3月に大統領選を控え、日本は今秋に総選挙が行われる可能性が高いことから、双方ともに相手国に弱みを見せられず、今後も関係改善の機会を用意するのは容易ではないとみられる そのため文大統領と菅義偉首相の初めての会談は実現されない可能性が高く、両国の冷え込みも長期化する懸念が高まっている。 ただ青瓦台の高官は「韓日関係の未来指向的な発展のために今回の政府任期末まで日本との対話の努力を続ける」とし、「首脳同士が会う機会があればよい」と話した。 韓日首脳会談は2019年12月24日に中国・成都で韓中日首脳会議を機に開催されてから、行われていない。
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