15年10月に行われた南北離散家族再会行事=(聯合ニュース)
15年10月に行われた南北離散家族再会行事=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】北朝鮮が国営メディアを通じ、2016年に中国内の北朝鮮レストランから脱出し韓国に亡命した女性従業員12人を送還するよう韓国側に求めている。従業員が送還されなければ、朝鮮戦争などで生き別れになった南北離散家族の再会に支障が出る可能性があると警告しており、来月20~26日に北朝鮮・金剛山地域で開催される予定の離散家族再会行事が滞りなく行われるかに注目が集まっている。 集団脱北を巡っては、5月に韓国の放送局が、韓国情報機関の国家情報院(国情院)が計画して従業員を強制的に脱出させたとの疑惑を報じた。北朝鮮は従業員らが拉致されたと主張し送還を要求し続けてきた。 北朝鮮の朝鮮中央通信は21日の論評で、「(韓国の)前保守政権の反人倫的悪行により人為的に作られた新たな離散家族(脱北従業員)をそのままにしておきながら、離散家族の痛みについてとやかく言うのは話にならない」と非難しながら、離散家族再会行事について言及した。 朝鮮労働党機関紙、労働新聞も同日の論評で、従業員送還問題が速やかに解決されない場合は離散家族再会はもちろん、今後の南北関係の障害が生じかねないと警告した。 北朝鮮は今年1月に開かれた南北高官級会談で、従業員の送還を離散家族再会行事開催の条件として求め、その後も送還が離散家族再会の前提だとの主張を繰り返してきた。 しかし、4月の南北首脳会談で署名された板門店宣言に基づき、離散家族再会行事の開催に合意するなど、最近は送還問題を争点化しない雰囲気だった。 北朝鮮がメディアを動員し従業員送還のカードを取り出したのは、米国との交渉が膠着(こうちゃく)状態に差し掛かり、国際社会の制裁により韓国との関係改善も思い通りの速度で進まない状況の中で、韓国に圧力をかけるためとみられる。従業員の送還要求にとどまらず、離散家族再会行事に支障が出る可能性があると警告することで、韓国に対する圧力を強めたと解釈される。 現在の状況では、従業員送還が再会行事開催に直接的な影響を与える可能性は高くなさそうだ。再会行事開催は板門店宣言の合意事項であるだけに、送還問題で再会行事を中止させることは北朝鮮にとっても負担になる。 しかし、再会行事開催までの約1カ月間、準備過程で紆余(うよ)曲折があると予想される。南北は今月25日に離散家族再会申請者の家族の生死確認の結果を、来月初めに行事参加者の最終名簿を交換する予定だ。
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