イスラム国(以下、IS)へ加入したことがほぼ確実とみられる18歳の韓国人「キム君」がSNS上に「フェミニストは嫌いだ」と書いていたことが報じられる中、韓国では一時「フェミニスト」という単語がポータルサイト検
イスラム国(以下、IS)へ加入したことがほぼ確実とみられる18歳の韓国人「キム君」がSNS上に「フェミニストは嫌いだ」と書いていたことが報じられる中、韓国では一時「フェミニスト」という単語がポータルサイト検
イスラム国(以下、IS)へ加入したことがほぼ確実とみられる18歳の韓国人「キム君」がSNS上に「フェミニストは嫌いだ」と書いていたことが報じられる中、韓国では一時「フェミニスト」という単語がポータルサイト検索語上位にあがった。インターネットで「フェミニスト(feminist)」を検索すると、「社会における伝統的な女性概念による束縛からの解放を唱え、女権獲得・女権拡張・男女同権を目指すフェミニズムを主張する人の事」と出る。韓国のあるメディアは社会面で「フェミニスト、IS行きを決心した理由に」とのタイトルで報じていた。

 はたしてキム君は、フェミニストに一回でも会ったことがあるのだろうか、との疑問も湧くが、この記事に接して感じられることは、驚きでも悔しさでもなく、ただ背筋が凍りつくような感情。2011年、ノルウェーで77人を殺害した銃乱射事件の犯人アンネシュ・ベーリング・ブレイビクが思い浮かぶからだ。

 ブレイビクは極右思想をもち、左派政党が多文化主義を奨励することに猛反発して、罪のない市民たちをテロの恐怖に陥れた。キリスト教原理主義者のブレイビクは、フェミニズムを嫌悪し、他人種を嫌悪した。犯行前、インターネットに記載した文書では、ヨーロッパの多文化主義を批判しながら、韓国と日本を「完ぺきな社会のモデル」と崇めており、李明博(イ・ミョンパク)大統領に会いたいと語っていた。韓国は、家父長制がよく維持されており、多文化主義はなく「文化的純度を維持している」とのことが理由だった。

 一方、キム君はブレイビクと同様に孤立した生活を送っていた男子。報道によると、キム君はいじめが原因で不登校となり、数年間「ひきこもり」生活を送っていた。非常に強いプロテスタント教会文化にのめり込んでいたという。両親がトルコへ同行させた牧師は、外国語には不慣れで、キム君のキリス行きが意味することも全く知らなかったようだ。そのような人物を息子の保護者として信じたことは、キム君の家族がプロテスタント教会文化や閉鎖的な性格の教会共同体を無批判的に盲信していたのではないか、との指摘もある。

 学校も職場もなく、家にひきこもっていたキム君は、周辺の人々や社会文化の支持や認定を得ることが難しい位置にいた。彼は、フェミニスト嫌悪に加えて、サブカルチャー文化の「原理主義」を組み合わせることにより、それなりの出口を求めていたようだ。ノルウェーのブレイビクにとって、ムスリムまでも包容する多文化主義が自身を抑圧する主義文化だったとしたら、キム君にとってはキリスト教文化と世俗主義が自身を抑圧する文化だったのだ。

 ISは、新自由主義的資本主義のすべての問題を西欧中心主義とキリスト教、「米国」などで還元することにより、社会に不満をもつ人々の怒りを集中することができる簡単な打撃対象を提供する。また、拉致した女性たちを奴隷として売ったり、隊員たちの性奴隷として分配するなど、女性嫌悪的攻撃を行うだけでなく、同性愛者や不倫を犯した人々を激しく拷問するシーンなどを公開した。キム君にとっては、このようなISの論理が本人の怒りと剥奪感を燃やすことができる法理的な出口だったのでは、との分析もある。

 万が一、韓国社会に銃規制がなかったとしたら、どうなっていただろう。キム君がトルコへ行く代わりに、韓国で支持者を見つけたとしたら、どうなっていただろうか。恐ろしい想像が頭をよぎる。


Copyrights(C) News1 wowkorea.jp 0