朝鮮族の男性が自殺を図ったホテルの客室=(聯合ニュース)
朝鮮族の男性が自殺を図ったホテルの客室=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】ソウル市職員(33)の北朝鮮スパイ疑惑に関する裁判をめぐり、検察が提出した同職員の中国出入国管理記録などの証拠が偽造されたとされる問題で、検察の捜査を受けていた中国出身の朝鮮族の男性(60代)が5日、宿泊先のホテルで自殺を図ったことが分かり、波紋が広がっている。命に別状はないという。
 男性は韓国情報機関、国家情報院(国情院)の「協力者」として、証拠偽造に関与した疑いが持たれている。部屋の壁面には血で「国情院、国操院(国家操作院)」との文字が書かれていた。
 ソウル市職員は元北朝鮮脱出住民(脱北者)。2011年6月からソウル市庁で脱北者支援業務を担当する契約職員として勤務していた。韓国に住む脱北者約200人の情報を北朝鮮の国家安全保衛部(秘密警察)に渡したとして、昨年2月、国家保安法および旅券法違反罪で起訴された。
 同年8月の一審判決では無罪が言い渡された。控訴した検察は被告が北朝鮮から指令を受けるため中国を経由して北朝鮮入りしたことを示す証拠として、中国当局の出入国管理記録など3件を高裁に提出。被告の弁護団は文書が捏造(ねつぞう)されたとして、真偽の確認を求めていた。
 高裁の照会要請を受けた在韓中国大使館は今年1月、文書は偽造されたものと回答した。
 検察が提出した文書については、在瀋陽韓国総領事館に領事として派遣されている国情院の職員が深く関与したとみられ、検察は2月末から数回にわたり、領事から事情聴取を行った。
 自殺を図った男性が残した息子宛ての遺書には「国情院からもらう金がある。2か月分の給料600万ウォン(約58万円)、虚偽書類の作成費用1000万ウォン」と書かれていた。給料は国情院に協力する見返りとして支払われる活動費とみられる。虚偽書類が問題の文書かどうかについては明らかにしなかった。
 一方、ソウル市職員については「間違いなくスパイ」と主張した。

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