大統領執務室の移転先となる国防部庁舎=6日、ソウル(聯合ニュース)
大統領執務室の移転先となる国防部庁舎=6日、ソウル(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領は来月10日の就任と同時に、ソウル市竜山区の現国防部庁舎に移る大統領執務室で公務を開始する見通しだ。現在執務室が置かれている青瓦台(大統領府)からの移転が想定より遅れ、就任日には間に合わないとの見方があったが、次期政権への移行を準備する政権引き継ぎ委員会の関係者は7日の記者会見で、「5月10日の新政権発足日に、尹大統領は安全保障の空白なく大統領の執務を始める」と述べた。

 この関係者は、大統領執務室移転の焦点は「安保の空白が発生することなく、いわゆる『バンカー』と呼ばれる危機管理センターが完備されるか」と「新大統領が執務室移転先の国防部庁舎で執務を開始できるか」の二つだとした上で、両方とも5月10日以前に満たせるとの見解を示した。

 政府は6日の臨時閣議で、大統領執務室移転費用の一部にあたる360億ウォン(約36億5200万円)の予備費支出を承認した。これを受け政権引き継ぎ委は、就任日に合わせ、執務室を含む主要施設の移転準備が可能になったと判断した。

 国防部庁舎(本館)は10階建て。尹氏側は1~4階に大統領執務室や秘書室、記者室、報道官室、警護処などの主要施設を配置する計画とされる。4~5階には補佐陣の事務室、6階以上は官民合同委員会が入るようだ。

 ただ、現在1~4階を使っている国防部の一部部署の移転は、韓米による定例の合同軍事演習の本演習である合同指揮所演習(4月18~28日)終了後へ先送りされた。尹氏側は、先に空く5~10階への入居作業から始めることになる。大統領執務室もひとまずこれらのフロアのどこかに臨時執務室として設けられる可能性が高いとみられている。

 この政権引き継ぎ委関係者は、大統領執務室に関し「予備プランを立てるなど万全の準備をしている」と述べた後、移転先での主要施設の配置など詳細を明かせないことに理解を求めた。

 安保と直結する「危機管理センターの完備」については、指揮統制に関する軍事戦術統制システム、災難災害連結システムが構築され、消防や警察などともつながる必要があるとし、こうした作業が5月10日以前に終わり、「完備」されると強調した。

 ただ、就任日までにすべての施設を移転するのは難しく、移転は部分的、段階的に進むという。

 尹氏側の張済元(チャン・ジェウォン)秘書室長も「5月10日から大統領と最小限の参謀が執務できるよう、最善の努力を尽くしているという話を実務者から聞いた」と記者団に述べた。執務室移転に向け現政権と協力し合っており、大きな問題はないとした。


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